2022年3月にトルコのイスタンブールで行われた和平交渉でウクライナ側は和平を許されていなかったため、交渉に同意しなかったとシュレーダー元首相は語った。
ウクライナ側は交渉に関連するすべての問題を米国政府と検討することを余儀なくされていたという。この時点においてウクライナはNATO加盟を放棄し、クリミアについて交渉する用意さえあったと指摘した。
しかし、最終的な合意にたどり着かなかった理由は、米国があらゆる決定権を握っていたからだと分析した。
さらに、欧州の政治家らも交渉に失敗したと評価した。その結果、ロシアは中国とより緊密な関係を選択したが、西側はこれを許すべきではなかったと結論付けた。ロシアはどのような政治状況でも今日のロシアであり続ける以上、ドイツとしては経済的、政治的協力を継続する必要があると指摘した。そのうえで感情的な判断を避けるよう反ロシア派に助言した。
またシュレーダー氏はクリミアについて、「クリミアはどれくらい前からロシア領だったろう、ロシアにとってクリミアは単なる一地域ではなく、歴史の一部である」と指摘した。
さらにウクライナがNATOの加盟条件を満たすことは依然として不可能であることから、加盟を目指すべきではないとも評価した。ただし、「ウクライナにも安全保障が必要」とし、国連安保理とドイツが保障を提供しなければならないと付け加えた。
シュレーダー元首相はウクライナ危機以降もロシアとの接触を維持したとしてドイツ国内で厳しく批判されていた。シュレーダー氏は首相経験者に与えられる特権の一部を剥奪されたほか、ドイツ社会民主党(SPD)から危うく除名されるところだった。
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