ロシア北極圏プロジェクト「アークティックLNG-2」に米国が制裁 マスコミはエネルギー市場の混乱を懸念 日本への影響は?

11月2日、米財務省はロシアの北極圏での「アークティックLNG-2」プロジェクトを制裁リストに追加した。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)はこれについて、LNG輸出でロシアが主要国とならぬよう阻止を狙う米政府の意向とみて、国際エネルギー市場に混乱を招くと懸念を表している。
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FTは制裁を、米国は「ロシアのLNG輸出能力を初めて直接的な標的にした。国際エネルギー市場は震撼しかねない」と書いた
米コンサルティング会社Energy AspectsはFTに対し、米国の制裁でエネルギー市場は縮小すると憂慮しており、米コロンビア大学のガス専門家アン=ソフィー・コーボ氏も、プロジェクトの輸出開始が計画の2024年に開始できなければ、市場の緊張は「長期にわたる」と語っている。
日本はロシアからの天然ガス供給を増やすだろう=在札幌ロシア総領事

日本にとっては重要なプロジェクト

「アークティックLNG-2」を主導する露ガス大手「ノバテク」のレオニード・ミケルソンCEOはスプートニクに、 プロジェクトの日本へのガス供給見込みは年間200万トン超は固いと語っている。日本は三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との共同出資会社を通じ、プロジェクトの権益の1割を保有する。
日露関係が悪化しても、ロシアのエネルギープロジェクトに参画し続ける重要性は日本には大きい。経済産業省が6月30日に発表の「ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置」では、日本は「建築及びエンジニアリング分野のサービス提供禁止措置」を実施しても、「サハリン1」「サハリン2」「アークティックLNG2」は、自国のエネルギー安全保障のため特に必要として、措置の対象外となっている。
ポスト石油戦略研究所の大場紀章代表は「アークティックLNG2」について、以前スプートニクに対し、「日露で進めてきた非常に大きなプロジェクト。施工も日本のプラントメーカーだ。日本がここから撤退するのは、むしろ日本にとって大きな痛手になる」と述べていた
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