このような研究を行うためには、まず、特別な遠心分離機が組み立てられ、中に、可能な限りマイナス271度以下に冷却された超流動ヘリウムが入れられた。液体ヘリウムはこうした低温で通常とは異なる量子の特性を獲得する。その後、遠心分離機は一定のモードで回転させた。
研究を行ったパトリック・スヴァンカラ博士は次のように語っている。
「数万個もの量子渦を竜巻の想起させるコンパクトな物体に閉じ込め、量子液体としては記録的なパワーの渦流を実現することに成功した」
回転時に超流動ヘリウムの表面に微小な波が形成されたことから、それを観察していた研究者たちは、このプロセスが回転するブラックホール付近の重力状態を模倣していると結論づけた。
科学者たちは、このような「瓶の中のブラックホール」は、本物のブラックホール近傍の湾曲した時空で起こるプロセスの研究に役立つと指摘している。研究者らは定在波のようなブラックホールの物理の明確な兆候を発見した。科学者たちは、今後も実験を続け、ブラックホールについての科学の新たな分野を開拓すると語っている。