【視点】メルコスールとの貿易協定 日本にとっては対米依存度の引き下げ効果

日本とメルコスール(南米南部共同市場)の自由貿易協定交渉は、南米諸国が経済軸をアジアに向けざるを得ない必然性を物語っている。政治学者でリオデジャネイロ州立大学(UERJ)、国際関係学修士のベアトリス・バンデイラ・デ・メロ氏と社会学博士でラテンアメリカ経済研究所フアン・アグーリョ教授は、このパートナーシップの利点についてスプートニクに語った。
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メルコスール諸国はアジアとの貿易量が非常に多い。デ・メロ氏は、「2022年のデータでは、メルコスール諸国の輸入の44%がアジアで占められており、この中で日本は第7位だった」と指摘する。この数字は、日本とメルコスール圏の貿易を妨げないだけではなく、諸国間の経済成長の可能性がいかに大きいかを示している。
南米諸国の中でもブラジル、ウルグアイ、チリ、ペルーといった国では、過去20年の間に中国が最大の貿易相手国になった。これは、同地域における米国のプレゼンスが縮小しつつあることを物語っている。
アグーリョ氏は、日本との協定は「南米の政策がアジアへ方向転換したことを示しており、これは同時に多極化を促す」と語っている。
これは見方を変えれば、グローバルプレーヤーへの依存から脱却する可能性が生まれつつあることも指している。アグーリョ氏は「メルコースルは対中関係における緊張の埋め合わせに功を奏し、同時に日本にとっても、米国、豪州といった国々への依存度をよりデリケートな方法で緩和している」と見ている。デ・メロ氏も、「日本は外交政策の優先順位をラテンアメリカに向けており、すでに関係を拡大している」との見方を表している。
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