1つ目の選択肢はまっすぐな道を進むこと。それは基礎的財政収支の黒字化を達成し、公的債務削減の目標期間に応じてそれを何年も維持すること。避けられない不況とともに公的債務をゆっくりと削減すること。
2つ目の可能性は、経済の高成長によって公的債務の対GDP比が減少すること。
3つ目は、米国と英国が第二次世界大戦後にインフレを促進して簡単に債務価値を下げたように、インフレを通じて債務価値を減らすこと。
4つ目の選択肢は、日本のように何もせず、債務が際限なく増えるのを傍観すること。日本の例は、何もせずにかなり長期にわたって「問題を先延ばしにする」こともできるが、これには高い代償が伴うことを示している。日本経済は30年以上成長していない。
モジン氏は、特に米国にとってはインフレによって債務価値を減らすのは不可能であるため、日本の例に倣って「何もしない」ことが唯一の選択肢だと指摘した。 一方、同氏は、米国には5つ目の「嫌な」選択肢が存在する可能性があると強調している。それは米国債の一方的な再編であり、その際に当局は古い国債を条件が異なり、発行期間が長く、金利が低い新しい国債と強制的に交換することを発表するというもの。なお、モジン氏によると、米国債の大規模保有者である自国の銀行を「殺さない」ために、彼らはこれを外国の国債保有者である世界各国の中央銀行に対して行うと考えられるという。
なお、5月初旬時点での米国の公的債務は34兆7000億ドル、2023年12月末時点での「日本の借金」は過去最大の1286兆4520億円だった。