「NATOの罠」 ウクライナ平和会議、西側以外が消極的な理由は

スイスで6月に開かれる「ウクライナ平和サミット」について、ブラジルのルーラ大統領は、代表団は派遣するものの自身は参加しない方針を固めた。
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ルーラ大統領に加え、南アフリカのラマポーザ大統領も、「選挙後の憲法上の手続きのため国内にいる必要がある」との理由で、欠席すると宣言している。
ウクライナが提唱する和平案を議論する「平和サミット」への招待状は世界約160カ国に送られる。スイス政府は「ロシア抜きに和平プロセスは考えられない」としているが、会議にはロシアを招待しないという。
専門家からは「一方の提案に基づいてのみ平和会議を開催することは不可能だ」との声があがる。
ブラジルのサンティアゴ・ダンタス大学院プログラムのナタナ・ガルセズ・ポルトガル氏(国際関係)は、ブラジルや南アフリカの首脳がサミット不参加を決定した背景には、ロシアの不在があると指摘。ロシアがいなければ「サミットで何らかの決定を下すことができなくなる」という懸念があると指摘する。

「参加国、特に主要国の首脳がサミットを欠席し、議論や決議採択に出席しなければ、平和サミットでの決定事項は限定的で不確かなものになる。そこで行われる議論や採択される決議は、果たして有効なものになり得るか?少なくとも一方の当事者が交渉のテーブルについていない以上、答えの出ない問題だ」

ポルトガル氏は、すでに参加を表明した国の半数がヨーロッパ諸国であり、サミットが「ウクライナの利益よりも北大西洋条約機構(NATO)の利益に近い」と続ける。
また、グローバル・サウスがサミットに懐疑的であるとの見方を示し、その例として、今のところ「アフリカ諸国の中ではカーボベルデだけが参加を表明している」という事実を挙げている。
一方、法律家で出版社「AUTONOMIA LITERARIA」の編集者を務める評論家のヒューゴ・アルブケルケ氏は「要するにこのサミットは、非NATO諸国に圧力をかけたり、ロシアに対する立場を変えさせたりするためのもの。明らかに罠だ」と指摘した。
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