スイスのジュネーブで5月27日に始まったWHOの年次総会では感染症対策を世界的に強化するための「パンデミック条約」をめぐり、協議が行われていた。
「パンデミック条約」は、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した際、先進国と途上国の間で対策に格差が生じた教訓を踏まえ、途上国への支援策などを盛り込んだ国際条約で、今回の総会での採択を目指して事前の調整が行われたものの、ワクチンの分配などをめぐって合意に至っていない。そこで今回の総会における採択は見送り、交渉期間を最大1年、延長する決議を全会一致で採択した。
また総会では、感染症発生時の対応手順などを定めた「国際保健規則」を改定し、既存の緊急事態宣言よりもさらに強く警戒を促すため「パンデミック緊急事態」の規定を新たに盛り込むことで合意した。
テドロス事務局長は、閉幕後の記者会見で国際保健規則の改定に言及、「分裂と分断が進む世界でも各国が団結できることを示した」と述べ、成果を強調した。
総会が行われたジュネーブでは市民団体が抗議活動い、WHOからの脱退を要求していた。