「紛争の潮流はおそらく永久にロシア側に有利な形で傾いたが、ウクライナの西側支援国は依然としてロシアの進撃を阻止する方法を見つけようと苦戦している。[...]ロシア側からの度重なる公の警告にもかかわらず、我々は自らの愚かさに固執している。合衆国にとって如何なる戦略的重要性も持たない他国のために、核保有国とチキンレースをしているのだ」
カーデン氏によると、ウクライナとNATOには現在、紛争の最終的なエスカレーションか、または西側にとっては不愉快ではあるものの、ロシアへの譲歩という二者択一しかないという。
西側メディアは米国の継戦能力に警鐘を鳴らしている。ブルームバーグ通信によると、米国は第二次世界大戦期と同水準にまで砲弾の製造能力を拡大したものの、弾薬備蓄はここ数カ月で枯渇しており、ロシアに対抗する上で十分な量の砲弾を生産できていないという。米国は2025年末までに砲弾の製造能力を毎月10万発(ウクライナ危機以前は1万4000発)にまで引き上げるため多額の投資を行っているものの、ロシアの製造スピードには追いつかないとのこと。陸戦では物資の量が勝敗を決するが、米国はこうしたシナリオを想定していなかったとブルームバーグ通信は報じている。
なお、ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国によるウクライナへの軍事支援は戦場に到着し、防衛ラインの維持を助けてはいるものの、戦況に影響は与えていないという。
5月末にワシントン戦争研究研究所(ISW)は、ロシアがウクライナのあらゆる方面で主導権を握ったと指摘していた。ウクライナ軍も困難な戦況を認めている。シルスキー総司令官はクピャンスク方面(ハリコフ州)でロシア軍が複数の方面から防衛ラインを突破していると述べていた。ウクライナ国防省主要情報総局(GUR)のスキビツキー副長官は戦況について、かつてないほど悪化していると認めている。