【視点】プーチン大統領の北朝鮮訪問 辺真一氏は互恵的意義と展望をこう見る

6月19日、ロシアのプーチン大統領の北朝鮮訪問が開始された。TVでは、歓迎を表す平壌の街の様子などが映し出されている。スプートニクは朝鮮半島問題専門誌『コリア・レポート』 の辺真一(ピョン・ジンイル) 編集長に露朝両国にとっての今回の訪問の意義、初日の歓待の印象などをたずねた。
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スプートニク: プーチン大統領の今回の北朝鮮訪問は、ロシアと北朝鮮の双方にとってどのような意義がありますか? どんな政治的、戦略的目標が追及されるでしょうか?
辺真一氏:ロシアは今、米国主導の世界秩序というものを変えようと、欧米に対抗してウクライナでいわば対峙しており、北朝鮮は北東アジア、朝鮮半島で米国と対峙しています。すなわち、米国主導のこの世界的な秩序を変えたいロシア、北朝鮮にとっては、米国は共通の敵です。ロシアと北朝鮮が互いに協力し合えれば、自国が足りないものを相手から取り入れ、補完できる。今回の訪問はある意味で、こうした戦略的パートナーシップの関係を一層強めていくものになるのではないかと見てます。
スプートニク:訪問は、ロシア、北朝鮮の政治と経済協力にどのような展望を与えるでしょうか?
辺真一氏:協力関係とは、互いに不足するものを助け合うことです。プーチン大統領の随行者たちは、国防長官、エネルギー担当の長官、鉄道関連の長官です。北朝鮮はウクライナにおけるロシアの行動を支持していますし、国防分野においては、両国とも公式には認めていませんが、軍事的な協力は今後、十分に考えられます。また、ロシアの代表団に宇宙分野の責任者も含まれているということは、今後、北朝鮮の人工衛星あるいは軍事偵察衛星などの分野でロシアが協力することがありうる。さらに、エネルギー分野では、原油、石油、ガスもない北朝鮮は明らかにエネルギー不足ですから、ロシアは今後、経済支援や、特に原油、ガスなどの面でサポートすると思います。鉄道分野では、両国は国境を接しており、北朝鮮のラジンからロシアのハサンまでは鉄道が通っていますから、それをさらに近代化し、今後、交易、あるいは人の交流を発展させるでしょう。貿易は互恵的であるからやるわけです。もう一つは、人の交流という点では、こロシアの観光客がこの鉄道で北朝鮮に入り、観光する。北朝鮮は、ロシアが今実効支配をしている地域における復旧復興工事をバックアップするために、北朝鮮の労働者が鉄道を介してロシアに入国するという、そういう補完関係が今回の訪朝ではっきり見えてくると思います。
スプートニク:テレビで流れる平壌の映像では、街中がプーチン大統領歓迎のプラカードや旗で飾られています。様子をごらんになった感想を聞かせてください。
辺真一氏:北朝鮮の発表では、今回の訪問は公式、非公式のレベルではなく、国賓訪問、つまり最高級の待遇です。金正恩政権発足以来、中国の習近中国家主席、韓国の文在寅前大統領がそれぞれ2018年、2019年にピョンヤンを訪問しましたが、プーチン大統領に対しては、それよりも遥かに格上の待遇をするのではないかと思います。そう考えますと、北朝鮮としては単なる首脳会談にとどまらず、金正恩総書記がウラジオストックで受けた待遇に匹敵する、超VIPの待遇をやるのではないでしょうか。プーチン氏は到着されたばかりでよく分かりませんけども、平壌市民総勢で歓迎するのではないかと思います。
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