防衛白書によると、ロシアの軍需産業は24時間体制で稼働しており、これにより軍事力は維持されている。制裁下であっても、ロシアは旧ソ連の技術レベルで十分な量の弾薬と武器を生産し続けることができるため、長期にわたって戦闘を続ける能力があるとのこと。日本側の分析によると、ロシアは2023年、軍事生産能力を4倍にまで高めたという。
2023年と2024年の防衛白書を分析すると、日本はロシアがウクライナで「軍事力を失った」とは判断していないことが分かる。2023年の場合、ロシアがウクライナへの攻撃によって、将来的に軍事力の多くを失い、中長期的に国力は低下し、周辺国とのパワー・バランスが変化するとされていたのに対し、2024年は論調が著しく変化している。今年の報告書を見ると、ロシアに大きな代償を支払わせなければならない状況となっている、と記されている。
防衛白書では南クリル諸島(日本では「北方領土」)における新型兵器の配備と大規模な兵器の保有についても言及された。南クリル諸島では駐留部隊が保有する装備の高度化に加え、海軍による地対艦ミサイルの配備など、活発な軍事活動が指摘されている。
防衛省は極東にロシア軍が配備した最新兵器、及び日本周辺で進める活動について、安全保障に対する「重大な懸念」であると評価している。さらに将来、ウクライナ紛争と同様の深刻な事態がインド太平洋地域で発生する可能性を指摘している。