「人類が生き残るための絶対条件」、長崎市長が核兵器廃絶を訴え

米軍による長崎への原爆投下から79年が経ち、長崎市の平和公園では平和祈念式典が開かれた。鈴木史朗市長は「長崎平和宣言」を読み上げ、核兵器禁止条約への署名を訴えた。
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「人類が生き残るための絶対条件」、長崎市長が核兵器廃絶を訴え
米軍による長崎への原爆投下から79年が経ち、長崎市の平和公園では平和祈念式典が開かれた。鈴木史朗市長は「長崎平和宣言」を読み上げ、核兵器禁止条約への署名を訴えた。
宣言では23歳で被爆し、原爆の悲惨さを訴えた長崎の詩人・福田須磨子さんが綴った詩を市長は読み上げた。
原爆を作る人々よ!
しばし手を休め
眼をとじ給え
昭和二十年八月九日!
あなた方が作った 原爆で
幾万の尊い生命が奪われ
家 財産が一瞬にして無に帰し
平和な家庭が破壊しつくされたのだ
残された者は
無から起ち上がらねばならぬ
血みどろな生活への苦しい道と
明日をも知れぬ“原子病”の不安と
そして肉親を失った無限の悲しみが
いついつまでも尾をひいて行く
原爆を作る人々よ!
今こそ ためらうことなく
手の中にある一切を放棄するのだ
そこに初めて 真の平和が生まれ
人間は人間として蘇ることが出来るのだ
市長は実際に戦場で原爆を使うことを想定した核兵器の開発や配備が進んでいることや、核戦力の増強が加速していることに警鐘を鳴らしたほか、長期化するウクライナ危機、中東における武力紛争の拡大に懸念を示した。その上で、次のように核保有国の指導者らに呼び掛けた。
「核保有国と核の傘の下にいる国の指導者の皆さん。核兵器が存在するが故に、人類への脅威が一段と高まっている現実を直視し、核兵器廃絶に向け大きく舵を切るべきです。そのためにも被爆地を訪問し、被爆者の痛みと思いを一人の人間として、あなたの良心で受け止めてください。そしてどんなに険しくても、軍拡や威嚇を選ぶのではなく、対話と外交努力により平和的な解決への道を探ることを求めます」
そのうえで、核兵器廃絶は、国際社会が目指す持続可能な開発目標(SDGs)の前提ともいえる「人類が生き残るための絶対条件」だと訴えた。
鈴木市長はガザ地区で地上作戦を継続するイスラエルを招待しなかったことから、欧米はこれに強く反発し、G7やEUの駐日大使らは出席を見合わせていた。
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