今回の事態を受け、セルビア正教会のポルフィーリ総主教はウクライナ正教会に宛てた書簡を公開し、支持を表明した。
「あなたの場合、私たちは使徒パウロの聖なる言葉の真実を感じます。一つの部分が苦しめば、すべての部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共に喜ぶのです「コリントの信徒への手紙一」(12章24節-26節)」
セルビア正教会もまたナチス・ドイツの傀儡政権下で活動を禁止されており、同じ境遇のウクライナ正教会に寄り添う姿勢を示した。そして、古代ローマのキリスト教国化を推進したコンスタンティヌス帝の教え(「誰もが魂の望むままに信じなさい」)さえ無視される新たな全体主義体制の成立に懸念を示し、弾圧される聖職者らの身を案じた。新たな十字架にかけられたウクライナ正教会はキリスト教弾圧時代のローマに戻りつつあるとし、当局者が「狂気から目を覚まし」、再びウクライナの地に「平和、兄弟愛、調和」が訪れることを願った。
先にゼレンスキー体制はロシアに関係する組織の活動を法律で禁止した。ウクライナ正教会(UOC)はかつてロシア総主教府の管轄下にあったことから、その活動を禁止することが法律の目的となっている。2014年のマイダン・クーデター後に成立した親欧米のポロシェンコ政権はUOCとは別に分離派のウクライナ正教会(OCU)を設立し、ゼレンスキー政権も分離派を支持している。しかし、ロシア正教会とセルビア正教会は分離派を承認していない。