研究所によると、6~7月に行った調査では、放射性物質のセシウム137は1立方メートルあたり約1ベクレルと、安全基準を大幅に下回っていた。
一方、ALPS処理で除去できないトリチウムについては、具体的数値は示していないものの、「黒潮本流で含有量の増加がみられる」と指摘。露クリル諸島沿岸やオホーツク海の漁業への影響の有無を調べるため、詳しい調査が必要だと判断した。
トリチウムは自然界にも存在する放射性物質で、濃度が低ければ危険性はない。日本政府によると、福島第一原発からの放出水のトリチウム含有量は、安全基準の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1以下になるように希釈されており、計画は国際原子力機関(IAEA)にも認められている。
処理水海洋放出の国際モニタリングをめぐっては、今年からサンプル分析にロシアの研究機関も加わることをIAEAが確認していた。露外務省はこれまでに、「福島第一原発の処理水放出に関する日本の行動の透明性を求めていく」としている。