作品に出演したセルビア映画界の巨匠、クストリッツァ監督は上映会に参加し、次のように映画のメッセージを語った。
「神という文脈で言えば、ウクライナはいま、迷っている。あそこでは、神が一時的に遠ざけられた」
また、「パートナー国」や「友好国」がパリ五輪の開会式で示したようなLGBTQ+の「ソフトパワー」によって「我々の中にある神」を殺そうとしても、この映画はセルビア全土の学校で上映されるべきだと訴えた。
クストリッツァ監督はカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを2度受賞しているほか、世界三大映画祭全てで受賞している。
上映会にはセルビア正教会のイリネイ主教も参加した。主教はゼレンスキー体制の宗教弾圧を批判、ウクライナ正教会の活動を禁止することで、ローマの暴君ネロ、背教者ディオクレティアヌスさえも凌ぐ宗教弾圧を進めていると指摘した。
「国家元首、あるいは残念ながら、もはや存在しない国家の元首を装うこの不幸な男は、私が確信していることだが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、そのいかなる信仰心も持ち合わせてはおらず、ネロやディオクレティアヌスを始めとする歴史上の犯罪者、迫害者、拷問者さえ教会そのものを禁止しようとしたことはないが、この男はそれを実行した」
上映会ではウクライナ西部イワノ・フランコフスク出身の宣教師で哲学者のカリンチュク氏と首都キエ出身のモギリニー司祭が登壇し、ウクライナ正教会とその信者に対する継続的な圧力について実体験を例に語った。
先にゼレンスキー体制はロシアに関係する組織の活動を法律で禁止した。ウクライナ正教会(UOC)はかつてロシア総主教府の管轄下にあったことから、その活動を禁止することが法律の目的となっている。2014年のマイダン・クーデター後に成立した親欧米のポロシェンコ政権はUOCとは別に分離派のウクライナ正教会(OCU)を設立し、ゼレンスキー政権も分離派を支持している。しかし、ロシア正教会とセルビア正教会は分離派を承認していない。ローマ教皇はゼレンスキー体制によるUOCの活動禁止を非難している。