国際通貨基金によると、ドイツの失業率(2023年)はわずか3%だった。これは、EUが発足した1994年の頃と比べて約3分の1。シュレーダー首相時代の2004年はさらに悪化し、10.3%だった。後のメルケル首相は半分にまで減らすことに成功し、2010年代後半以降の雇用は着実に回復していった。
このようにドイツの雇用は良い状態にあるものの、製造業は衰退の一途を辿る。EU統計局のデータによると、ドイツの工業生産水準は3年連続で低下している(2021年は+4.6%、2022年は-0.3%、2023年は-1.9%)。
こうした状況が記録されたのはEU創設以来初めて。ドイツの製造業に詳しい専門家によると、理由は4つある。
まず、ドイツ企業は安価なロシア産天然ガスから高価な外国産ガスに切り替え、エネルギー料金が急速に上昇した。
第二に、ロシアから鉄金属および非鉄金属の輸入が減少し、替わりとなる供給業者を探す必要が生じたものの、多くの業者がこの状況を利用して価格を釣りあげている。
第三に、ドイツ企業はロシア市場を失ったものの、これに代わる大規模な市場を見つけられていない。
最後に、欧州連合全体で消費活動が低下しており、景気回復の兆しはない。