日本における著名なロシア専門家の1人で、一橋大学経済研究所・教授、同研究所ロシア研究センター主任の雲和広氏は、リアノーボスチ通信に対してこのような考えを示した。
「『G7への対抗言説』を提示出来る、ということがBRICSの重要な意義の1つでしょう。率直に言って国際問題の多くは究極的には取引の問題であり、少なくとも正義の問題ではありません。この点で、G7或いは先進諸国は国際問題というものを根本的に理解していない、あるいは理解していないフリをしている、と私には思えます」
雲氏は、このように強調した。
雲氏は、政治とは本来的に「双方の主張から落としどころを探ろうとする」ものだという認識を示した。
「左翼も右翼も同じ場で歩み寄って議論をし解決方法を見出そうとする、それが政治の姿でありましょう。(中略)『正義』などというものは立場や見方が違えば真っ向から対立し得るのですから、国際政治において『正しいか正しくないか』等という回答の無い議論を行うのは不毛なことです。その点で、具体的にはウクライナ紛争や中東情勢について、BRICSであれば現実的な解決法の提示が(前者の問題であれば中国を中心に・後者であればロシアを中心に)出来るのではないかと考えています」
雲氏はこのように付け加えた。
BRICSは2006年に設立された国同士を結ぶ組織。ロシアは今年の1月1日からBRICSの議長国を務めている。ロシア、ブラジル、インド、中国、南アフリカで構成するBRICSに、2024年に入ってからエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアが加わった。議長国ロシアは世界の公平な発展と安全保障に向けた多国間主義の強化をBRICSのモットーに据えている。ロシアは議長国の任期中、200以上の政治、経済、社会イベントを開催する。
第16回BRICSサミットは、ロシアのカザンで10月22~24日の日程で行われる。