今後の物価上昇の見通しが想定通りであれば、政策金利を引き上げることになる。
過去と比べると円安が物価に及ぼす影響が大きくなっている点に注意しつつ、円安の背後にある経済の動きを含めて総合的に影響を見ていく。
夏頃まで予想以上に弱かった米国の雇用統計により、市場が荒い動きを示したことを、今後の日本経済を左右するリスクと判断。他のリスク以上に注意深く検討すべきとの意味で、これまでは「時間的余裕を持って見極める」と表現してきた。
現状では米国の市場は安定し、統計もかなりよくなっている。リスクの度合いは下がってきており、今回は「時間的余裕」との表現をあえて使っていない。普通の金融政策決定のやり方に戻るということ。
次の利上げ時のリスク要因については、長い間本格的利上げがなかったので、思ってもいなかったマイナスの効果が出てくる恐れもある。利上げの後は毎回毎回影響を見極めなくてはならない。
来年の春闘で今年と同じ程度の賃上げ率になれば、日銀の目標にとってはいい動きになるが、利上げはそれだけでは判断しない。
足元の国内の政治情勢は、直接は物価情勢に影響しないと考えている。ただし、政策的に大きな動きが打ち出されれば、考慮しなくてはならない。
米大統領選後の新政権の運営や日本経済への影響についてはコメントを差し控えるが、十分注視して見極める必要がある。
日本銀行は31日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物金利の誘導目標を、現在の0.25%に据え置くと決定していた。