袴田事件で県警、最高検が報告書 「重大な違法」

静岡県警と最高検察庁は26日、1966年の静岡県一家殺害事件で、死刑判決を受けてその後再審無罪が確定した袴田巌さんの「袴田事件」に関する対応について検証した結果をそれぞれ公表した。
この記事をSputnikで読む

静岡県警の捜査について

取り調べは供述の任意性が否定されるような方法であった上、不適正であったと言わざるを得ない。
警察官が証拠のねつ造を行ったとの判決での指摘については、それを示唆または否定する具体的な事実や証言は得られなかった。
事件発生当時にみそタンク内の状況を明らかにしていなかったことは、結果として捜査が不十分であった。
弁護士との接見が録音され、秘密交通権が侵害されていたことは、証拠全ての信用性に疑義を生じさせかねない重大な違法。

最高検の再審請求をめぐる対応について

審理促進への意欲が高かったとは言えず長期化を招いた。
5点の衣類の色調に関する実験やDNA鑑定については、審理期間がある程度長期間に及ぶこともやむを得ない面があった。
検察官が存在を認識していなかった5点の衣類等のネガフィルムや、取調べを録音したテープが後になって発見されており、捜査資料や証拠の保管・把握が不十分だった。
警察官の取調べは任意性を欠き、検察官は警察の取調べの影響を遮断する措置が十分ではなかった。検察官の取調べも、袴田さんを犯人であると決めつけたかのような発言をしながら自白を求めるなど、供述に真摯に耳を傾けたものとはいえなかった。
検察の証拠提出が不十分であったことにより、裁判所に鉄紺色ズボンのサイズを誤認させてしまい、再審請求審の審理にも混乱を招いた。

袴田事件

1966年6月30日、静岡県清水市(現在の静岡市清水区)の味噌製造会社の専務一家4人が殺害された事件。起訴された袴田さんは80年に死刑が確定したが、冤罪の可能性があるとして2014年に再審開始、釈放が決まった。今年10月に再審無罪が確定した。13年には「世界で最も長く収監されている死刑囚」としてギネス世界記録に認定された。
コメント