ディープシーク創業者、梁文峰氏とは? AI投資で財を成す

常識破りの低コストで対話型AIを開発し、世界の注目を集めている中国の新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」。その創業者、梁文峰(リャン・ウェンフォン)氏は、これまで国外ではほぼ無名で、その素性はベールに包まれている。
この記事をSputnikで読む
ブルームバーグなどによると、梁氏は1980年代中頃、南部の広東省湛江市生まれ。父親は小学校教師だった。名門・浙江大学で電子工学を学んだ。
2015年に「High-Flyer(ハイフライヤー)」という投資ファンドを設立。数学や統計学などを用い、市場の動向を分析・予測して中国株のトレードを行った。AIを用いた機械学習も取り入れ、2021年までに900億元(1.9兆円)の資産を築いた。
だが、AIの取引タイミングのミスで大損失を被り、方針転換。会社の資産は3分の1マイナスの約600億元まで減少したが、その裏でディープシークの準備を進めてきた。
ハイフライヤーは米国による中国への半導体禁輸前、約1万個の米エヌビディア製GPUを溜め込んでいた。これも利用し、ハイフライヤーの資金でディープシークは研究を行った。
一説には、同社がAI開発に使ったGPUは2000個で、その額は約600万ドル(約9億3000万円)。この数字は米チャットGPTの100分の1とも言われるほど、同業他社に比べ破格的な低予算だった。
こうして完成した生成AIモデル「R1」は、今月20日に公開された。これまで業界で圧倒的優位とされてきた米国の立場が揺らぐ懸念から、米ハイテク株は下落。自社のGPUで図らずもディープシーク躍進に一役買ったエヌビディアは、時価総額が90兆円減少した。
ビジネスインサイダーによると、梁氏は過去のインタビューでディープシークの開発コードを「クローズドソースにはしない」と述べている。また、「中国とアメリカのギャップはオリジナリティと模倣の差だ。これが変わらなければ、中国は永遠に追随者のままだろう」と話し、ディープシークによってこの状況を変えたいとの意欲も見せている。
コメント