開戦時の在庫2割消費か
米海軍は対イラン戦争で使う巡航ミサイル「トマホーク」を、今のペースで消費し続けた場合、4ヶ月弱で在庫を使い果たす可能性がある。スプートニクは米予算関連文書を分析し、推計した。
これまでに米一部メディアは、米国は開戦からすでに850発以上のトマホークを使用したと報じた。開戦直後のイラン南部ミナブの小学校への攻撃で、女子生徒や教員少なくとも175人を殺害したのも、米軍が放ったトマホーク・ミサイルとみられている。
米海軍の駆逐艦「USS ブルケリー」が「トマホーク」ミサイルを発射する
© AP Photo / U.S. Navy
米国の予算データによれば、トマホークの目標備蓄数は3992発。正確な備蓄数は機密扱いだが、すでに使用された850発を考慮すると、残存する在庫は現在の使用ペースで推計約3.7ヶ月分になる。
米軍でも「弾数無限」ではない
文書によると、米国は2019年以降、定期的な再認証および近代化によってミサイルの備蓄を維持している。旧型のトマホークは改修され、耐用年数が延長されている。年間約250発がこのように近代化されている。
生産開始以来のトマホークの総調達数は9240発に上り、これまでもイエメン、イラクなどの近年の米国の作戦で集中的に投入されてきた。だが、今回のハイペースでの消費には、ペンタゴン(国防総省)内でも懸念が広がっているという。
少なくとも、中東地域においては、何らかの策を講じなければトマホークの「備蓄ゼロ」になることも考えられる。トマホークの製造体制は戦時を想定しておらず、生産ペースの加速には時間がかかる。つまり、当面はインド太平洋など他地域から在庫を回すことが考えられる。
米、イスラエルは短期決戦を狙っていたとみられるが、イランの抵抗で思惑通りにはならなかった。攻撃手段はトマホークが全てではないが、いくら圧倒的な軍事力を図る米国といえども、無尽蔵にミサイルを消費できるわけではないことが露呈した。トランプ政権がイランとの交渉の可能性をちらつかせているのも、こうした事情が背景にあるのかもしれない。
日本の調達にも遅れ?
海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」はこのごろ、トマホークを発射できるよう改修されたばかり。だが、米軍の状況、製造や優先順位によっては日本への配備が遅れる可能性も考えられる。
防衛省は敵基地攻撃能力獲得の一環として、2025年度〜2027年度に順次トマホークを導入するとしている。すでに米側と400発を購入する契約を締結している。
しかし、F35のように米製兵器の納入が遅れることは珍しくはない。ただでさえそうなのに米軍自身の在庫が足りず、製造現場も逼迫する事態となれば、日本への配備分は後回しになるということも可能性として考えられる。