アジア経済への影響力をめぐる米中の戦い

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中国の開設したアジアインフラ投資銀行に英仏独伊政府が参加を決めたことは大きな論議を呼んだ。アジアインフラ投資銀行が欧州における米国の主要な連合国を引き入れて拡大を図るということは米国にとっては痛い注射となった。西側マスコミはこれをオバマ政権の外交の敗北と書きたてた。米国は仲良し組みの諸国に対し、中国の新たな金融ストラクチャーをボイコットするよう、執拗に呼びかけていたからだ。米国政権に自国の立場を変える気構えがあるかどうか、それとも欧州の大金融の例に倣い、中国発案のプロジェクトに加わるか。専門家の意見を尋ねてみた。

FOREXの上級金融アナリストのグレブ・ザドヤ氏は、 中国が自国の管轄する多面的銀行を創設したいとする欲求は、世界の巨大投資家格付けで3位を占める国としてはごく自然な発想と語る。しかも中国は未だにいかなるグローバル金融制度にも大きな影響を及ぼすことには成功していない。世界銀行の発言権は米国の3分の1に留まっている。同様の不平等はIMFやアジア開発銀行にも色濃く残っている。アジアインフラ投資銀行のこれからの可能性を考えると、1千億ドル足らずの資本金を掲げて立ち上げられたこの銀行が、それをはるかに超える資金を持つ世界銀行やIMFに取って代わる存在になるとは考えにくい。ザドヤ氏は、米国が世銀、IMFの両方で圧倒的な立場を占めていることを考えると、現時点で米国は中国プロジェクトが大きな利益につながるとは捉えていないとの考えを示している。

これとは異なる見解もある。金融会社「インヴェストプロフィット」の専門家、セルゲイ・コロブコフ氏は、米国は近未来にはアジアインフラ投資銀行への姿勢を見直し、アジア地域での中国の影響強化を阻害する目的で、これに加わるだろうと予想している。コロブコフ氏は、旧ソ連の共和国や東南アジア諸国の大型インフラプロジェクトに金融サービスを提供しながら、中国はアジア太平洋地域への政治的影響力を強めるだけでなく、巨大な領域での経済の拡張を図る拠点を得ることになると語る。それと平行してIMF、世銀は国際市場でクレジットリソースを配分する上では重要なプレーヤーとして残るだろうというわけだ。

世界の巨大プレーヤーらのなかで、現時点でこのアジアインフラ投資銀行に否定的な姿勢を表しているのは日米のみ。韓国はまだ熟慮の段階にある。だがもし、米国が17日のプサキ国務省報道官の声明にあったように、自国の立場を変える構えにないならば、日本との状況も一様とはならない。21日の日中韓の外相協議の場で何らかの姿勢が明確に示されるかもしれない。アジア経済への影響力をめぐる米中間の戦いはこれからも続く。

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