沖縄における米軍基地反対集会もその一つ。また、在東京米国大使館を爆破しようとした沖縄県民を警視庁が逮捕するという事件も発生している。ソウルでは駐韓国米国大使が襲撃される事件もあった。韓国の120もの市民団体が米国のMDシステムを韓国国内に配備する計画に反対している。
これら事象はアジア太平洋地域における反米意識の高まりを物語るものである、と専門家らは見ている。The Asan Institute for Policy Studiesのアン・ソンギュ編集長によれば、韓国社会には反米の気運はだいぶ前から存在していた。
「それは1980年、チョン・トゥファンがクーデターを行い、米国がそれに目を瞑ったことから始まった。それまで米国との間には友好的な関係があった。米国が独裁政権を支援したことが、『米国は民主化を阻害している』との感触につながった。それが引いては、米国に対する敵対的な関係へと発展した」
しかし今の反米の風潮はそれとは異なる文脈をも持っている。今は独裁政権への関係のとり方などは後景に退いている。なぜなら、キム・ヨンサム大統領以来、韓国では20年以上、民主的な政権交代が行われているからである。再びアン・ソンギュ氏。
「しかし、80年代のチョン・トゥファン時代に平壌からインストラクションを受け、または単に北朝鮮体制に対する友好的な関係から反米運動を組織した人々は、徐々に、「反米」から「親北」活動家へと変貌しつつある」
反米の気運は、まだそう強くはないが、しかし、中流階級には一定程度存在し続けている、とアン・ソギュン氏。
「米国が韓国にあまりに大きな影響をもっているからこそ、このような受け止め方があり得るのだといえる。彼らが南北両朝鮮の関係回復を妨げているのである。この状況では、韓国と米国の同盟関係は、大いに困難なものとなる。こうした事例は史上に数多あるのである」
米国は朝鮮統一問題で極めてネガティブな立場をとっている。韓国のパク・クネ大統領は定期的に、北朝鮮の金正恩第一書記と前提条件なしに会談をもつ用意があるとの声明を出している。一方の米国は、「もし韓国と米国が合同軍事演習を行わなければ核実験を行わない」といった形の、平壌のあらゆる提案を否定している。韓国は米国の政策に追随することを余儀なくされている。たとえそれが国民の支持を受けられなくても、である。