ロシア代表団のポートフォリオにはルガンスク、ドネツク両人民共和国の住民に対し行われている拷問、虐待について、同地域の市町村にウクライナ軍が行った砲撃の惨状についての動画資料が入った。このレポートを用意したのはロシア民主主義問題調査基金とロシア国際協力民間外交社会評議会。これによってウクライナ側が、拷問および非人間的行為の禁止を唱える欧州人権憲章第3条に、体系的に違反している事実が明らかにされている。
民主主義問題調査基金のマクシム・グリゴリエフ代表は次のように語っている。
「世界は大体において、現地の実際の状況を知らない。我々はウクライナ南部東部で200人を超える住民、ウクライナ治安維持機関の捕虜になり、その後の捕虜交換で返された兵士らのひとりひとりから、個人的な証言を集めた。」
こうしたアンケート調査は2014年夏から2015年1月末まで行われた。その結果が、ここで発表されたのだ。ウクライナ治安維持機関によって拘束された市民はその大半が義勇兵ではなく一般の住民。彼らは長期間にわたって否定的な温度条件の建物内部に監禁され、食料、医療支援も受けられず、向精神剤、電気ショックが用いられ、溺死、窒息死に似た状況を味合わせられるといった拷問を受けている。ウクライナの治安維持機関は拘束した一般市民に対し、手足の指先を折る、高温に熱した物体を体に押し付けて火傷させるなどの手法をとっている。調査へ参加した人々は、ウクライナ治安維持機関の職員らが拘束した市民を地雷のうまった草原に行かせて歩かせたり、戦車の車輪の下に投げ込んだりする場面を自分の目で見てきた。
民主主義問題調査基金のグリゴリエフ代表は、拷問が行われた規模の大きさ、その体系を考えると、これはウクライナ指導部に承認された同国の治安維持機関の意図的な政策であるという帰結に達すると指摘する。
英語、ロシア語で150ページにわたるブックレットの形で出された証言集を、その編集者らは今回のハノイの列国議会同盟の参加者のみならず、広範な国際世論の財産となるものと捉えている。世界はこうした野蛮な行為がかつて、欧州諸国でナチスによって、アジアでは日本帝国軍によって、ベトナムでは米軍によって行われた事実を未だに記憶しているからだ。