日本の支援金、ウクライナの風に散る

© AP Photo / Sergei Chuzavkovウクライナ軍
ウクライナ軍 - Sputnik 日本
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日本はウクライナ東部復興の目的で、キエフに420万ドルを供与する。このままでは資金をどぶに捨てたことになりかねない。

駐ウクライナ日本大使・角茂樹氏とウクライナ地域発展大臣ゲンナージイ・ズプコ氏は昨日、ウクライナ東部諸地域のインフラ再建のための特殊設備購入費として、キエフに420万ドルを供与することで合意した。モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ主任研究員は、日本政府の決定はあまりにも非合理だ、と見ている。

「日本の対ウクライナ政策は、西側一般のそれと同様、論理を欠き、健全な思考を欠き、時として、行儀を欠いている。この悲観すべき絵柄をいまウクライナから遠いところで照らし出しているのは、イエメンにおける事象である。周知のとおり、合法的に選ばれたイエメン大統領マンスール・ハーディー氏を亡命に追い込んだ蜂起勢力に対するアラブ諸国連合による軍事行動を、西側は支持している。ではなぜ、2014年2月、合法的に選ばれたウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィチ氏を亡命に追い込んだ蜂起勢力を、西側は批判しなかったのか?西側は、大統領を追い落とした、武装民族主義勢力を根幹とする臨時政権を、単に支持するにとどまらず、キエフの簒奪者政権を認めないウクライナ南部・東部住民に彼らが弾圧を加えることを、祝福したのである」

キエフがドンバスにおいて繰り広げた自国の民衆に対する戦争は、公式の推計だけでも、既に6000人の人命を奪い、亡命や移住を強いられた人の数は150万人に上っている。ドンバスは大破壊を蒙った。その復興のためとして、日本政府は420万ドルを拠出するのである。しかしその相手は、ドンバスではない、キエフである。形式的には、それは正しい。日本は、他の西側諸国と同様、つとめて、ポロシェンコ大統領がウクライナに民主主義を建設する、ドンバスはウクライナの一部である、と信じているようなそぶりを見せている。ドンバスにおける事象の全てについてキエフは責任を帯びている、と考えるのが論理的である。しかし、ドンバスで数千もの無辜の市民を殺害した責任を、西側は、ポロシェンコ大統領にも、ウクライナ政府の面々にも、課そうとはしない。日本の手で、正確には日本の金で、西側が、キエフ軍によって破壊された橋、道路、住宅、学校、病院、工場の再建について、キエフを助ける用意があるとすれば、まだしもそれは結構なことである。

しかし、ここにはひとつの問題がある。

「ウクライナ軍の砲撃およびその軍事行動を受け、復興を必要としている領域は、いま、キエフでなく、ドネツクおよびルガンスク人民共和国政府の支配下に置かれている。キエフはこれら政権を、この民衆によって選ばれた政権を認めず、これら地域が自前の軍隊を解散し、キエフの管理下に復帰しない限りは、お金を与えることが出来ない、としている。しかし、ウクライナ軍および、軍と行動をともにしているウクライナのナショナリスト軍団、さらには西側の傭兵たちが、ドンバスであれだけのことをしでかした後では、ドンバスの民衆はもはや、キエフ政権のもとに復帰することなどは望まないのである」

ではどうやってキエフは日本から受けた支援金を南部・東部の復興に当てることが出来るのだろうか。キエフはまたしても、武器の力でドンバスを自らの管理下に戻そうと試みるのではないか。いまそれに強く反対しているのがロシアである。ロシアはキエフにガス供給に関する特典の付与を停止し、借金を全て返済するよう命じ、それだけでウクライナ経済を破壊することが出来る。ミンスク和平合意の仲介者であるドイツとフランスもそれに反対するだろう。よってキエフは早期に資金をドンバス復興に当てることが出来ない。それも、もしもキエフが本当に資金を得られるなら、の話である。そういうわけで、日本は明らかに、資金の供給について拙速だった。資金はそれにふさわしからぬ相手に手渡されたのである。

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