「ポライト・パワー」ロシアの新たな外交ドクトリン

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MIA「ロシア・セヴォードニャ」評論員ウラジーミル・レペヒンによれば、この1年、世界では、国際関係構造全体を一変させるような事象が相次いで起こった。第一に、米国が第二次世界大戦後の世界秩序を完全に破壊し、国連はお飾りに成り下がった。米国とその同盟国は、国連の委任状なしに、ウクライナ市民に対する懲罰作戦を支援し、またイエメンにおける軍事力の使用を支援した。第二に、米国はロシアに事実上の挑戦状を叩きつけ、欧州大陸全体を、ロシアとの経済・情報・軍事・政治戦に巻き込んだ。第三に、米国の非建設性を理由に、世界の経済的および地政学的中心が、ASEANやBRICSの方に移動しはじめた。

この事実が、なぜロシアがアジア・インフラ投資銀行に加盟する意向を表したのかということをも説明してくれる。さらに、BRICS銀行の設立も宣言されているし、上海協力機構銀行の設立へも着手がなされている。ロシアのこうした動きによって、既に、世界銀行や米ドルに代わる、新たな世界金融センターおよび決済システムが形成されつつある、と言っても過言ではない。これが新たな地政学的現実である。

ウラジーミル・レペヒンによれば、こうした変化は、ロシアの地政学ドクトリンを根本的に見直すことを迫るものである。むろん、既に、リビアやシリア、ウクライナにおける事象を受けて、ロシア外務省の優先事項は組み替えられている。けれども、ロシアの外交上の原則、2013年に採択された「ソフトパワー」ドクトリンは、今でも行動の指針として残っている。このドクトリンにもなお見るべきものは少なくない。しかし、採択された時点から比べると、「ソフトパワー」といまロシアに突き付けられている課題との間には、明らかな不調和がある。

ウラジーミル・レペヒンによれば、ロシアと欧米の間の「文明の衝突」が、ロシアの全国境線において先鋭化しているこの現状、ロシアは根本的に新しい外交ドクトリンを必要としている。知と情の力を基盤とするドクトリンである。そのドクトリンに一番相応しい名前は、実人生から拝借することが出来る。「ポライト(丁寧な)・パワー」。落ち着いた、誇り高い、自分の正しさに対する確信をともなう力である。

ロシア外交が基本とするべきことは何か。答えは明らか。BRICSの強化であり、非西欧諸国のさらなる加入によってG20をG30に変貌させることである。EUとPACEが低迷する今、ロシアはユーラシア経済同盟やユーラシア同盟議会総会での作業に集中するべきである。NATOの拡大に対しては、ロシアは集団安全保障条約の編成を拡大し、戦力を強化することをもって対抗しなければならない。もちろんロシアと20か国の善隣関係は集団安全保障空間をユーラシア大陸に広げるための政策の遂行を前提としている。その意味ではロシアはとっくの昔に、「東のOSCE」の形成に着手していなければならなかったのである。加えて、様々な地域間協力フォーマットも発展させる必要がある。

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