産業国産化を進めるロシア、金属加工業界の現状

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2014年の経済制裁を受け、ロシア政府は戦略的に重要な経済分野で技術の国産化を進める路線を発表した。たとえば金属加工業の現状はどうなっているか。アンナ・オラーロワ特派員が「鉄類生産」社(通称チョルメット)のニコライ・グギス社長に話を聞いた。

「金属の生産はその時点での経済に見合ったものになるから、GDPが下がれば必然的に金属の消費も下がる。実際の数字にそれは示されている。2013年の人口当たりの国内消費は292kgだった。これが2014年は280kgだ。ソチ五輪のような大型開発案件があったので、建材としての金属への需要は数年来、堅調だった。現在はやや難しい時だが、政府は対策をとっている」

2014年、ブルガリア経由のガスパイプライン「サウスストリーム」の建設が凍結された。しかしパイプの生産には響いていない、とグギス氏は語る。トルコへのパイプライン建設が進められているし、中国向けのパイプライン「シーラ・シビーリ」敷設のためのパイプの供給も行われている。後者は数年がかりの作業となる。

国産化の好例は、これまで輸入頼みだった高速鉄道用100mレールのロシア国内生産だろう。普通の鉄道で標準的なレールの長さは12.5m。この種のレールは頻繁に交換しなければならない。2015年1月、初の国産100mレールが、モスクワ地下鉄アルバート・ポクロフスカヤ線のキエフスカヤ駅-スラヴャンスキイ・ブリヴァール駅間に敷設された。特殊な技術による生産が、ノヴォクズネツキイ金属加工コンビナートで行われている。これはひとつの華々しい成功例である。
しかし国産化は多難である、とグギス氏。

「鉄類生産部門の一部は輸入代替できた。以前はレールなど様々な商品を(作るのでなく)買っていたものだ。しかし現時点でロシアが全面的な自給を達成出来ていないことは認めねばならない。たとえば被覆つき金属などは、フィンランドや日本、中国から購入しなければならない」

リペツクで4月半14-16日、第10回金属加工業会議が開かれ、ロシアの金属加工業界が抱える問題点について、業界の発展に向けた学術研究や開発について、企業間の協力について議論がなされる。意見を交換し、互いに学び合うことの出来る好機である。グギス社長によれば、「鉄類生産」社もセミナーを主宰しているのだという。

「我が社はこれで15年間にわたり、意見交換のための各種のセミナーを主宰している。つい先だっても、エレクトロスタリ(重工業都市)の主要10企業混成の専門家グループを作り、研修で複数のコンビナートを回らせた。チャリャビンスクの金属加工コンビナート、次いでペルヴォウラルスクのパイプ工場、次はニジネセルギンスク金属加工工場という具合だ。専門家同士が交流し、多くの問題が共有されていることを見出し、その解決策を共同で見出していくのだ」

ロシアの鉄類生産部門はこの20年で飛躍的に成長した。しかしいまだ消化できていない課題も多い。業界はある種の製品がかつて国内生産されていたのに今されていないことを痛恨事としている。たとえばモスクワの「槌と鎌」工場で製造され、ヘリコプター建造に使われていた部品などだ。ロシアは今日、ステンレス鋼の9割を輸入に頼っている。とりわけ痛手を蒙っているのは国防および宇宙産業向けに特殊な鉄鋼や合金を製造しているズラトウストフスク冶金工場だろう。他にも多くの問題点が、第10回総会で取り上げられることだろう。

ロシアは2013年、鉄鋼の生産で、中国、日本、米国、インドに次ぎ、世界第4位だった。量にして6800万トン。4割が輸出に回され、業界各社の安定的な収入源になっていた。しかしウクライナ危機とそれに続く経済制裁で、ロシアの全体的経済状況は著しい変化を蒙った。加えていま鉄類市場には中国産品が怒涛のように押し寄せており、競争が激化している。ロシアの金属加工業界は前途多難である。しかし新生ロシアにはこれらの問題は解決可能であると我々は信じている。

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