Q:大回転3大会連続、回転2大会連続金メダル、おめでとうございます。
A:(静かで自信に満ちた笑顔で)ありがとうございます。
Q:三連覇がかかっていた前回のスロヴァキアでの冬季五輪が開催直前に中止となり、さらに4年を経ての挑戦でしたが…今の御感想は?
A:本当にメダルが取れるのか、不安やプレッシャーがありました。ろう者も健聴者も関係なく皆さんに応援して頂いて、それに応えられるか大丈夫かとても心配でした。結果として金メダルが取れ嬉しいです。ロシア選手達は、よいライバルでした。
Q:前回の五輪が中止となった時、引退を考えませんでしたか?
A:いいえ、次の五輪開催を信じ、目標を持って頑張りました。健聴者の大会にも参加し、そのレベルに追い付こうと挑戦し、満を持して今回の大会に臨みました。金メダル獲得の約束を反故にしたくありませんでした。
Q:優勝の喜びを帰国したら、まず誰に伝えたいですか?
A:ずっと応援し続けてくれた地元の人達です。栃木県知事や日光市長にも御報告したいと思っています。
Q:回転も2大会連続金メダルとなりましたが、こちらも自信がありましたか?
A:大回転は自信がありましたが、回転はロシア勢が強いので、正直言って自信はありませんでした。危ない場面もありましたが、日本での練習の成果が出て、決勝に進むことができました。タイム的にはダメかと思いましたが、ロシア選手の失格などもあり、自分が金メダルと知った時は、驚き、複雑な気持ちでした。
Q:ハンティマンシスク五輪の雰囲気は、いかがでしたか?
A:街中がオリンピックの雰囲気に満ちていました。会場にも大スクリーンが設置されるなど、健聴者のオリンピックに近い雰囲気でした。テレビで観戦した昨年のソチ五輪と同じ雰囲気で嬉しかったです。ハンティマンシスクの人達は、皆優しく、応援の声をかけてくれました。競技用のブーツが壊れた時は、地元ボランティアで、自分でもスケートボードをやっているイワン君(19)に本当に世話になりました。彼の協力が無ければ、回転競技に出場できなかったかもしれません。
第18回冬季デフリンピックは、ハンティマンシスクでクロスカントリー、スノーボード、ホッケー、カーリングの4競技が、マグニトゴルスクでアルペン競技が行われ、日本チーム(太田陽介団長)は金3銀1銅1と健闘し、メダル5個獲得の目標を達成した。なおロシアはクロスカントリー及びホッケーで好成績を収め、金12銀6銅6と参加国中最大数のメダルを得た。またチェコが金6銀1、米国は金3銀3銅2を獲得した。
(インタビュー取材にあたっては、手話通訳・茂木郁実さんの協力を得た。)