これまで米国は、経済で成功したければ、他の国は米国の経験を自らに適用するべきだ、としてきた。また、米国は外国の民衆が民主主義を打ち立てるのを支援しなければならない、ゆえに、外国の内政にも介入する権利を有している、とのテーゼがあった。オバマ氏は、米国の目的は世界征服である、と公言したも同然である。その目的のためには、いかなる手段も正当化される、というわけである。
中国の名が挙げられたのには深いわけがある。この十年、世界のGDPに占める米国の割合は低落し、一方で中国のそれは増大、米国と肩を並べるまでになっている。世界のリーダーの座を失わないようにと、米国はTPPおよびTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)の創設を提唱した。後者は米国とEUを含むものだ。しかし米国の計画は、世界の主要国の国益に抵触した。特に、中国の。米国の貿易ルールに甘んじて盲従できない国もある、ということが明らかになった。
世界経済の発展のためには、全ての国が参加することが重要だ。そう語るのは、ベトナム共産党中央委員会付属経済研究所の副所長、ヴォ・シタン氏は次のように語っている。
「米国ほか西側諸国が世界経済において大きな役割を演じていることには疑いがない。しかし、BRICS諸国という、最も急速に成長を遂げている国々を過小評価してはいけない。世界経済秩序、WTOやIMF、世界銀行といった諸々の国際機関は、大々的な建て直しを迫られている。それは米国やEUなくしては不可能なことだ。しかしBRICS諸国がなくても不可能なことなのだ。加えて、貿易や投資におけるグローバリゼーションにより、多くの問題で、解決のためにはより広い対話が必要になっているのだ」
世界経済が全ての国の国益を考慮したうえで成功裏に機能していくためには、世界の全ての国の意見と可能性を考慮することが不可欠だ、とベトナムの専門家は語る。