「オバマ大統領は、日米はウクライナにおけるロシアの侵略に共同で対立していると発言した。手柔らかに言っても、この発言は現実に矛盾している。率直に言えば、米大統領は単に嘘をついている。
ロシアがウクライナ領で自国軍を用いていないのは単に国際法への敬意からだとイヴァノフ氏は語る。ところが悲しいことにキエフ当局はこれを相手の弱点と解釈し、非合法的な政権転覆を支持しなかったドンバスの住民に対して軍事懲罰作戦を開始したのだ。日本をはじめとする西側はウクライナ新政権のこの行動を支持し、ウクライナ軍がドンバス市町村で一般市民を銃殺している事実やキエフ側で戦う民族主義者らの蛮行からは目をそらした。
記者会見に集まったジャーナリストらの大きな関心を買ったのは安倍、オバマ両者の日米国防協力の強化に関する声明だった。ある日本人記者が、日本が米国の戦争に引き込まれる恐れはないかとたずねた問いに対し、安倍首相はこうした危険性はすでに55年間にわたって存在しているものの、歴史がその根拠を確証付けたことはついぞなかったと答えた。
「米ソ対立の時代には、米国が日本を自分の危険な行為に引き込むことは、それが日本の国益に反していた場合は非常に難しかった。米国がどんなに圧力をかけても、日本は米国の圧力にも講じず、ソ連に対し、米国の制裁対象に挙げられていた製品を供給していた。そんななかには大型の直径のパイプもあった。1980年、西側はモスクワ五輪をボイコットしたが、日本企業は開催に参加し、マスコミもその模様を積極的に伝えた。
だが日本は対露制裁におとなしく従った。この制裁は証拠もないままマレーシアのボーイング機撃墜、ウクライナへの侵略を理由に発動されたものだ。
日本は制裁を支持したが、これが自国の国益に害をもたらすとは考えていなかった。
こうした危険な橋を渡りたがる連中が平和と民主主義の擁護という名目で行う行為を信用してはならない。米軍のユーゴスラビア、イラク、アフガン介入後、またリビアでの軍事作戦後、現地では民主主義度が高まることはなく、その代わりに破壊と流血が進み、カオスが蔓延した。これと全く同じ構図がウクライナでも見受けられる。日本がこうした無秩序に責任をとる必要はあるのだろうか?