アゼルバイジャン人記者のギュリマラ・マメザデ氏は、ロシアへの情報攻撃は、そのクライマックスにはまだ到達していないとの見方を示している。マメザデ氏は、これは総体において大戦のすべての戦勝国の功績を保障するものだが、状況の悲劇性は、ロシア人とウクライナ人という2つの同胞スラヴ民族分離状態をも外側から強めていると指摘している。
西側世界ではこんにち、5月9日のモスクワでの祝賀行事への参加の是非はロシアへの圧力要因とみなされている。モスクワへ公式的に招待された68カ国の首脳のうち、参加を表明したのは30人以上。内訳はCIS諸国の首脳がほぼ全員のほか、ベトナム、中国、インド、モンゴル、セルビア、モンテネグロ、マケドニア、スロバキア、ギリシャ、キプロスとなっている。招待者のなかにはモスクワ行きの拒否を公表した首脳もいる。イデオロギー的な理由でそうする者、米国の怒りを買うことを恐れる者と様々だが、こうした姿勢は世界が共有する価値、またソ連兵のみならず「第2戦線」で戦った兵士たちへの慰霊の念を脅かすものである。なぜなら彼らは「ファシズムに勝つ」という共通の目的のために戦い、命を落とした者たちだからだ。
このほか西側諸国間の「5月9日の祝賀参加をめぐる陰謀」はロシアの孤立を狙ってのものだが、これが実際、ロシアの運命を左右するような影響をもたらすことはまずない。ロシアには、旧ソ連諸国の大半と同様、米英仏などこの大戦に勝利をもたらした民族の役割を否定する気持ちはないからだ。逆に西側のほうが、ロシアの国際舞台における役割を最低限にしようという地政学的目的を共に遂げようとして、このテーマを操り、全人類的価値から見てあまりに品位にかける手をしばしば用いている。ところがこれこそが新たな脅威やネオナチ思想の浸透などの問題を増やしているのだ。
西側はかの大戦の勝利の達成においてソ連の諸民族の役割に頼みながらも、自分の意義を拡大評価することにかけては後に引かない。この目的でメディアのあらゆるメカニズムが使われており、ハリウッドのスターやヒロイックなイメージを用いた映画も活用されている。これは大衆の意識操作であり、ここでもっとも標的にされるのはイメージや特殊効果の影響にさらされている若いオーディエンスである。このため、通信社「スプートニク」の依頼でICMリサーチが英仏独で行った世論調査で、3国の43%がヨーロッパのナチスドイツからの解放で主役を演じたのは米国と回答したのも無理からぬことなのだ。ちなみにソ連軍と回答したのはわずか13%に留まった。
今の世代が戦争の真実を守ることができるだろうか? 今のオーディエンスへの心理的情報的な作用メソッドが組みかえられていることを踏まえると、この問いは複雑である。大量の情報攻撃に常時晒されているロシアの住民と旧ソ連諸国のオーディエンス。この両者を結びつけるものは精神性と歴史である。
だがロシアはこうした挑戦に、情報的な性格をもったものも含め、的確に答えることができるところを見せ付けている。 このためもちろんこうした条件下では歴史の正当性を守るため、いっそうの尽力を 傾けている。プーチン大統領は戦争の真実を守る必要性を語る。なぜならそれはロシアをはじめとする旧ソ連 の諸民族がこの戦争のすべての苦しみを自分の身に引き受けたからだ。2700万人の人命はあまりにも高い代価であり、何者かの手によって人類の記憶から拭い去られては決してならない。これを先日、モスクワで戦争の生き証人らが口にした。4月28日、大祖国戦争中央博物館で開催された国際戦勝者フォーラム「一致団結して得られた大勝利」で発言した旧ソ連諸国の戦争功労者らだ。戦争の功労者、この勝利を継承する人々、旧ソ連の全共和国のあらゆる世代の代表者のすべてが再び一堂に会した。