約200ページにわたる報告書は、「ウクライナとEU:現代民主主義の方向性における犯罪行為の克服?」と題されている。
報告書は、ジュネーブの安全保障に関する監視協会、米国の国際犯罪・腐敗研究所、バーゼル統合研究所が行った、2013年9月から2014年1月にかけてのウクライナ情勢に関する調査に基づいている。
報告書では、ウクライナは世界で最も腐敗した国の一つであると強調されている。また報告書では、政府による意思決定に大富豪グループが大きく影響することによる利益紛争の幅広い拡大、またウクライナと協力するあらゆる国は、このグループとの協力を余儀なくされる、と指摘されている。
報告書の作成者たちは、現在ウクライナは「戦争状態にある国であり、ウクライナ経済は極めて不安定である」と指摘している。なお専門家たちは、ヤヌコヴィチ政権の時代は比較的安定していたとの見方を示している。
専門家たちは、ウクライナ東部の情勢も評価した。専門家たちによると、「ウクライナの内戦」から抜け出すことを可能とする方法は、2つのみ。それは、経済的繁栄の基礎となることができるように、国を効果的かつ民主的に組織すること、あるいは地域を力で和解させる独裁政治だ。報告書では、現在ウクライナ東部は全当事者にとって膠着状態にあるため、東部の状況は、独裁の方向で進展する可能性があると指摘されている。
報告書の作成者たちは、「ウクライナは、ユーゴスラビアに続く、EUの外交政策の2つ目の大きな過ちとみなされる可能性がある。なぜならEUは、戦争を回避できなかったからだ」との、全体的に悲観的な結論に達している。