ベトナムは自国海軍の強化に関心を抱いているが、これは南シナ海の状況と切っても切り離せない。ラジオ・スプートニク記者は、政治学者のグリゴリイ・ロクシン氏に話を聞いた-
「中東から輸入される石油の80%は、南シナ海を通っている。世界貿易の半分以上が、マラッカ海峡及び南シナ海を通過している。南シナ海の貨客取扱量はスエズ及びパナマ運河を凌いでいる。それゆえある国にとって、マラッカ海峡の閉鎖は、グローバルな危機を意味する。もし閉鎖されれば、米国や日本、その他のアジア太平洋諸国の経済に甚大な打撃を与えるだろう。そのためこれらの国々は、南シナ海での船舶航行の安全と自由に死活的な関心を抱いている。
そして今、南へ自国の力を拡大しているのが他でもない中国だ。彼らの最も断固たる措置の一つは、昨年夏に講じられた。ベトナムの排他的経済海域内に資源探査用の掘削プラットホームを建設したのだ。この海域は、中国も調印し批准した1988年の協定により、ベトナムのものと認められている。プラットホームの周囲で2ヶ月にわたり衝突が続き、中国側は、ベトナムの国境警備隊の艦船に向け放水した。」
ベトナムにも米国にも、南シナ海での中国の力の拡大にストップをかけたいとの共通の関心がある。まして、ここ最近、中国政府は、南シナ海に滑走路や倉庫などを持つ人工島を作る仕事に取り組んでいるのだからなおさらだ。
しかし、ロシアの政治学者ロクシン氏は「それでも利益あるいは関心の一致には限界がある」と強調し、さらに次のような見方を示した-
「関心は、その枠外では根本的に異なっている。米国はベトナムと共に、中国に対して連帯して行動しながら、そもそもベトナムにおける共産党一党支配に満足しているわけではない。
米国に住むベトナム人達は、200万人を超える。彼らは豊かな人達で、中には上院議員を含めた議員達もいる。民主・共和両党に自分達の代表がおり、米国で言われるところの『人権状況改善』をベトナム政府に求めるよう、行政府に強い圧力を加えている。ただ米国の理解するところの『状況の改善』とは、つまり、ベトナム共産党は、まず何よりも、米国のべトナム系市民と交流のあるほかの政党の設立を認め、彼らを国の統治に参加させるべきだというものだ。
ロシアは、ベトナムばかりではなく中国の戦略的パートナーでもある。我々は、中越両国が交渉のテーブルに着くよう望んでいる。話し合いを始めること、それこそが唯一の理性的立場である。」