「ロシアは地理的にわが国に近い。ルーブル・レートの下落がよい効果となり、ロシアの供給者は外国市場でより柔軟な価格政策が行えている。我々も供給契約が安定して締結されているのを目にしている。受け入れ可能な価格であれば日本企業はこれから先も安定してロシアからの輸入を続けると思う。」
日本のマスコミ報道によれば、ロシア最大の石炭採掘企業「シベリア石炭エネルギー会社(SUEK)」からの今年の買い付け量は7%増加。SUEKでは採掘量のおよそ40%を輸出に振り分けている。買い付け量の拡大を促したのはSUEKの価格引下げ。 このほか、日本の買い付け側にとって魅力なのは輸送にかかる日数の短さ。従来、日本が買い付けてきた豪州産の石炭は輸送に2週間もかかってしまうことに比べ、ロシアからはわずか3日で届くため、輸送コストを低く抑えることが可能だ。日本への輸送は現在、ばら積み貨物船によって行われている。 これについて、投資会社KPMGロシアCIS、企業融資部のステパン・スヴェタンコフ部長は次のように語っている。
「現在、石炭企業はますますアジア太平洋市場へ供給先を転換している。この市場では需要が伸び続けているからだ。ロシア産石炭のアジア太平洋諸国向けの輸出は過去5年で事実上2倍に拡大した。販売版図は最も広範で、東は日本、中国などがある。なぜまさにアジア販売市場の版図拡大の必要性が生じたかというと、膝元のロシアではより安価にガスを購入できるため、石炭市場の拡大はほぼ頭打ちという現実があるからだ。」
日本の石炭輸入でロシアの占める割合はおよそ9%と現段階ではそう大きくない。だが拡大にむかう将来性はある。2011年2月、SUEKの輸出担当の子会社は日本に代表事務所を開設したのも偶然ではない。またSUEK本社も2013年、アジア太平洋地域諸国向け輸出拡大に7億9700万ドルを拠出している。