その一方でドネツク人民共和国人民会議のデニス・プシリン副議長はリアノーボスチ通信からの電話インタビューに対し、ウクライナの和平プロセス、別名で「ミンスク・プロセス」はキエフ当局側の治安維持機関の扇動によって破られることがあってはならないとし、ドネツク人民共和国は交渉継続の構えであると断言している。
最後に行われたミンスク交渉は2015年2月、まさにデバリツェヴォ周辺での戦闘が活発化した後に開始されている。その際、ミンスクで調印された合意は停戦、重火器の撤去、安全ゾーンの創設のほか、ウクライナ政権に対してドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国代表らとの直接対話を行い、地元選挙の実施、ウクライナ憲法へ非中央集権化政権についての修正を話し合うことが義務付けられていた。ところがキエフ当局はこの条項を無視し、反乱を行った地区の代表らとは対話を行う構えにないことを明らかにした。ロシアのラヴロフ外相は情勢緊張化にコメントした中でこの点に注意を喚起し、「2月12日のミンスク合意はキエフ当局の行為によって常に破棄の危険に晒されている。キエフ側はドンバス側との直接対話の義務を逃れようとしている」と指摘した。
西側はウクライナ南部東部の情勢緊張化するたびに、その責任はドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の義勇軍にあり、はたまたロシアにもあるとしてきた。ハーフ米国務省公式報道官は、和平合意への違反はほとんど義勇軍側が行っているとしながらも、それを示す正確な情報源を挙げることはできなかった。ハーフ報道官は言葉を濁し、国務省はそうした情報を受け取っている、「OSCEを含め、様々な情報源から」と述べるにとどまっている。公式報道官のこうした曖昧な声明は情勢の明晰な分析というよりはコーヒー茶碗占いレベルであり、ウクライナ南部東部の危機解決には全く功を奏していない。