グロナスとパートナー関係を結ぶことでエジプトには独自の緊急事態用ナビゲーションシステムを作る可能性が生まれる。これはつまり、現在、米国のGPSに占拠されてしまっているエジプトのナビゲーションサービス市場が多極化されることを意味する。グロナスの必要性を感じている国はアジア、中東、ラテンアメリカに多く見られる。
地上の施設測位の精度と質を向上させるため、グロナスはナビゲーション・センターを配置するための交渉を中国、キューバ、ニカラグア、ベトナムと行っている。その中で最も具体的に事が進んでいるのが中国で、現在すでに、共同モニタリング圏を拡大するために、いくつステーションを設け、ロシアと中国のどの位置に配置するかといった技術上の基準が話し合われている。
6月5日ノボシビルスクでの学会で中国北方工業公司のス・シャオドゥン社長は北斗とグロナスの協力の展望は大きいと指摘した。ス社長は特に新たな合同プロジェクトの策定に興味を持っているとし、北斗がさらに13の人工衛星を加えることによっても、新プロジェクトは可能になるだろうと述べた。そのうち3つの人工衛星はここ数週間のうちに打ち上げられる。
露中プロジェクトの1つは今年中にも始動する。「グロナス」社で国際プロジェクトを率いるアレクサンドル・ボンダレンコ氏は学会で、ロシアと中国は両国の国境を通過する貨物自動車に対し、グロナス/北斗ナビゲーションシステムの搭載開始に向けて動き出したことを明らかにした。運輸会社には一連のサービスが提供される。その筆頭は自動車道における安全ナビゲーション情報分野のサービスとなるという。
グロナス社のエヴゲーニー・ベリャンコ副社長は、サービスには大きな需要があるとの確信を表し、次のように語っている。
「ナビゲーション機器というのは電子機械で、部材ではなく、完成した機械の製造者が用いるものだ。つまりこれは集積回路、モジュールの形で市場で購入ができるが、消費者がナビゲーションや携帯電話のように購入するものではない。『エラ・グロナス』セクションというのは、中国の北斗との合同プロジェクトでサービスを行なっていくが、これはすでに新型の自動車に装備されている。生産に組み込まれているからだ。ナビゲーション機器はもちろん公開性のものであり、プロの市場でもアクセスは可能だ。」
グロナス社のエヴゲーニー・ベリャンコ副社長は新プロジェクトの商業効果に自信を持っているとして、さらに次のように語っている。
「中国自動車市場は年間、2200万台から2300万台の新型車を生産している。中国は急速な勢いで自動車社会へと変わりつつあり、道路安全に国も関心を持っている。これはどんな国でも自国民の生命、健康に配慮するのと同様だ。中国と相互に関係することで合同のナビゲーション安全情報システムを構築することは絶対に可能だ。これによって中国-カザフスタン-ロシア-欧州の運輸回廊が出来る際に、露中の国境通過ではまさに安全の観点からいって同様のサービスレベルができる。実はこれは共通の国益の観点から言うと、すでに戦略的課題の解決なのだ。まさに市民生活の質の向上につながる。」
ロシアのグロナスはインドの輸送問題の解決にも有効だ。特に有料道路をしき、地元の貨物積み替え、商業運輸の管理運営システムを作るうえで役に立つ。グロナスを基礎とした技術の導入はモディ首相の発案する「メイド・イン・インディア」戦略プログラムの枠内での利用が提案されている。これはグロナスのシグナルをサポートするナビゲーション・ターミナルのインドでの生産ローカリゼーションを示す。生産がインドで行われることでインドの価格レベルとなり、地元市場での需要は十分に見込める。