ドイツのメルケル首相は「ドイチェ・ヴェレ」紙からのインタビューに対し、G7サミットで加盟諸国はどうしたらロシアを含めることができるかについて話し合うと語った。メルケル首相は、ここ数年間、ロシアはG7メンバーがシェアする多くの考えの決定を押しとどめてはきたものの、それでも様々な交渉フォーマットの重要なパートナーであり続けているとして、次のように語っている。
「ウクライナ危機の調整のためのノルマンディー形式があり、イランの核プログラムを話し合う六カ国協議もあり、ロシアはシリア内戦の調整に尽力するメンバーにもはいるだろうし、入らねばならない。私がこれだけは言っておきたいのは、シリアから化学兵器が運び出されたのは、ひとえにロシアのおかげだったということだ。」
だが、ウクライナ危機の解決へのアプローチこそが、ロシアとG7が以前のレベルでの協力への回帰する上で、あいかわらず一番のつまずきの石となっている。G7諸国は、ウクライナ東部でウクライナ軍によるミンスク合意違反が続いているにもかかわらず、なにかにつけてキエフへの固い支持を見せ付けている。
ロシア上院(連邦会議)のマトヴィエンコ議長は5日、ロシアのテレビ局からのインタビューにこたえたなかで、ウクライナ南部東部の情勢がここ数日またもや悪化したのは、まさにG7サミット開催が目前に迫っており、その場で対露制裁が話し合われるからではないかとの見解を表した。
マトヴィエンコ上院議長は、キエフ政権はドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国との交渉のテーブルには座りたくないため、こうした手段で平和的政治プロセスを台無しにしようとしていると強調した。マトヴィエンコ氏は、そうして新たな軍事扇動は否定的な情報背景を作り、一切の理由なし、根拠なしにウクライナ状況の緊張化の責任をロシアに押し付けようという狙いだと見方を示している。
ところがこうした根拠のない非難を受け入れようという国はG7の参加国全員ではない。独社会民主党ラルフ・シュテグネル副代表は週刊シュピーゲル誌からのインタビューに対し、ロシアをG7サミットに招待しないのは誤りと語っている。
シュテグネル副代表は、ロシア抜きに世界規模のプロセスをコントロールしようとすることは意味がないと指摘した。シュテグネル氏は「この集まりはお茶やコーヒーを片手におしゃべりする場ではない」と皮肉り、G7が共通する価値観を持つ国だけを集めたものであれば、この形式はG7ではなく、G2と呼ばねばならないと付け加えている。
ドイツ社会民主党出身のシュタインマイアー外相も4日、ベルリンでの記者会見で「G7の形式を長期的に維持することには誰も関心がな」く、国際社会は世界の危機の解決にロシアが参加することを望んでいると語っている。実践的協力のロジックか、またはイデオロギーの対立か。これから開幕するドイツサミットでは、西側の首脳らの頭の中では何が勝っているのかが示されるだろう。