ヴィクトル・ヤヌコヴィチ氏が「ユーロマイダン」で大統領の職を追われた後の総選挙で政権に就いたポロシェンコ氏は、ドンバス軍事紛争を早期に終結させ、ドンバスをキエフのコントロール下に取り戻すことを誓ってみせていた。またポロシェンコ氏は、選挙活動中、および就任直後の数ヶ月というもの、国民の生活水準を向上させること、さらにはEUの正式加盟国となる未来を約束してみせていた。この春、和平プランの実現にあたってキエフ側にいささかの怠慢はあったものの、ドンバス紛争解決に前向きな動きがあった。しかし今月初頭の軍事行動再開で、和平イニシアチブの全てに終止符が打たれるかもしれない。現段階では、社会・経済面の成果も捗々しくはない。国家経済は記録的な水準に落ち込み、ひとつ間違えば債務不履行というところにまできてしまっている。一般のウクライナ国民は、先の約束とは裏腹、むしろ生活水準を落としている。
現時点でポロシェンコ大統領がなしえたことは、政権を失わないということ、ただそれだけである。就任1周年の日に抗議行動を行った人たちの掲げたプラカードには、いま国民が政府から何を求めているのかということがはっきり書かれている。「年金を引き上げろ」「外国人を政府から追放せよ」「無能な政府は退陣せよ」「ポロシェンコ弾劾」「2105年の大飢饉を阻止せよ」「国のLGBT化を阻止せよ」。
専門家の間では、またウクライナ社会では、ひとつの意見がささやかれている。ポロシェンコ大統領はドンバス紛争を早期に終わらせる気がない。なぜなら国家建設に関して何らの成果も上げていない不手柄を隠すのに、紛争は好都合だからである、と。