今回のサミットにおいて、G7諸国の対ロ関係は、アクティブな対立というステージに移行した。音頭をとったのは米国だ。米国大統領はG7諸国に対し、ウクライナにおけるロシアの行動に「反撃」するよう呼びかけた。米国大統領とドイツ首相との会談ののち、ロシアに対する制裁圧力は続けられる、との声明が出された。
各国の専門家が指摘している。悪名高い対ロ制裁は、ロシアよりも、それを導入した西側諸国のほうに、より大きな損失を出している、と。G7サミットで米国大統領が「プーチンはロシア経済を壊乱し、国を孤立させた」と雄弁をふるっていたその時、モスクワでは、第一回BRICS諸国議会フォーラムが開会した。BRICSは多極世界の新しいシンボルであり、世界の発展を担う主要なパワーのひとつである。BRICS諸国の国土は全地球の26%を占め、人口は世界の全人口の46%を占める。世界8大経済大国のうち、G7にはその2位、4位、5位、8位の4カ国が含まれるのみ。首位、3位、6位、7位の経済先進国から成るのがBRICSである。IMFによれば、そのGDPは、2014年時点で32.5兆ドルに上り、全世界のGDPの30%を占める。G7諸国の合計GDPはこれよりわずかに2.2兆ドル多いだけである。この差はすぐにも埋められるだろうと、多くの専門家の意見は一致している。
ブロガーのマリヤ・ザハロワ氏は、米国大統領による、「ロシア孤立化政策は成功した」との発言に、次のようなコメントを行った。「成功など影も形もない。文明人を自認する、大国の大統領ともあろうものが、交戦中でもない外国の国民に何か悪いことを企て、そのことを誇るなど、前代未聞のことである。米国大統領には、外国の国民に何か良いことをしたといって誇れることが何もないから、だからそうするのだと言えるかも知れぬ。米国は十指に余る外国の内政に干渉した。ベトナム戦争をはじめ、ユーゴスラヴィア空爆、イラクにおける市民数十万人の死、のちに「イスラム国」を生み出すことになる対シリア作戦、リビアの国家破綻、などなど、枚挙に暇がない」。