指摘しなければならないのは、まず、カリーニングラードはロシアの町であり、ロシアはあくまで自国領土に核ミサイルを配備しているのである、ということ。第二に、ロシアのミサイル配備は、米国のMDシステムの欧州配備への対抗措置なのである。米MDの欧州配備で欧州のパワーバランスはNATOに傾いている。
英国に核ミサイルが配備されると、核紛争勃発の危険が急激に高まる。欧州はこれまでも一度ならず、ロシアとの核戦争寸前というところまで行っているのだ。元IMF日本政府代表理事・小手川大助氏はそう語っている。
「ドイツのシュピーゲル紙に載った記事を土台にレポートしたのですが、記事に書きましたとおり、数年前、ノルウェーの学者らが北極のオーロラを研究するためにロケットを打ち上げたところ、それが偶然、ロシアに対してミサイル攻撃を行うときと同様な軌道になっていたので、これはエリツィン政権のときでしたが、10分間の間に判断を迫られる難しい状況に陥ったことがありました。ロケットに対して対抗手段を講じると、要するに戦争が始まるような格好になってしまうのですが、当時、エリツィンさんは西側に非常に近く、対米関係がよかったので、短い間に判断し、そういう事態には至りませんでした。ただ、今の米国政権は非常にひどく、露米関係もよくないありません。ホワイトハウスとクレムリンの間にあるホットラインは、こうしたミサイルのような驚く事態が起きたとき、すぐに相手に連絡、確認するためのもので、それが機能すれば戦争の事態にはならないのですが、ウクライナ問題のためにホットラインがしばらくの間ストップされていたので、こんなときに、あのノルウェーの事件のように、まったく関係のない研究用のロケットが打ち上げられたとき、ホットラインに確認することができない状況が今あるとすると、それが原因で間違って戦争が起きるかもしれないことをドイツが非常に憂慮しているのです。」
小手川氏は、欧米とロシアの間に核戦争が勃発する危険性が高まることについて、東京にある自身の事務所を通じて、ロスサトルドニチェストヴォ(ロシア対外協力庁)に論文を送った。日本語の原文を次のページで読める。