オバマ大統領は、たとえば2014年のAPEC北京サミットなど、様々なフォーラムおよび会合で、TPP構想を推進している。TPPは、それが具体的にどういうものになるのかについては不明な点が多いが、その目的とするところについては、相当はっきりしている。マレーシアの元首相、マハティール・モハマド氏は次のような理解を示している。
「TPPなどは、米国の仕掛けるトラップの一つに過ぎない。アジア太平洋地域のすべての国々を一手に掌握して中国のさらなる経済成長を阻もうとするトリックだ」
つまりアジア太平洋地域諸国を糾合して中国さらにはロシアに敵対させようという魂胆である。周知のとおり、TPPをめぐっては、アジアにおける米国の最重要同盟国である日本に、一連の問題がある。日本政府はTPPによって農業が壊滅することを危惧している。
米国は同様のプロジェクトをEU相手にも進めている。TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)である。しかし、フランスのファビウス外相によれば、TTIPは現状では、EUの利害を十分に考慮してはいない。そうした意見はフランス外相ひとりのものではない。フランスのフランソワ・ジュルディエ提督がスプートニクの取材に対し率直な見解を語ってくれた。
「米国は欧州とロシアの接近を恐れ、それを防ぐために手立てを尽くしている。だからこそTTIP交渉も妥結させたいのだ。なお、交渉は完全に非公開で行われている。その点も非常に興味深いところだ。調印がなされないことを望む。もし調印されたなら、欧州は米国の衛星に成り下がってしまう」