核兵器、拡散せず、拡散させず

© AP Photo / Juan Carlos Llorca核兵器、拡散せず、拡散させず
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核不拡散条約が発効して今年で45年になる。締約国は現在、190か国。しかしインド、パキスタン、イスラエルは加盟せず、北朝鮮は脱退を表明している。

条約は1960年代末、国連軍縮委員会によって起草され、国連総会で承認を受けた。

条約の使命は核兵器の拡散を阻止し、原子力の平和利用のための環境を整備することにある。締約国は文書、機器、学術的および技術的情報の全面的な交換を行う義務を負う。また、核を保有しない国は、外国から核兵器を取得せず、自らも製造せず、他国の開発を支援しないようにと、特に記されている。核を保有していながら条約に加盟しない国々は、まさにこの点が気に入らないのだろう、と政治学者のウラジーミル・エフセーエフ氏は語る。

「イスラエル、インド、パキスタンが核不拡散条約に加盟しないのは、条約が「不平等」だからだ。彼らに言わせれば、公認を受けた一部の核保有国が、条約上の非保有国に対し、優位に立ってしまっている。中にはこれを「核のアパルトヘイト」と呼ぶ人もいる」

しかしながら、これら諸国における拡散の問題は、まだ最終解決を見ていない。国際社会がこれに満足できるはずがない。「ロシアと核不拡散」プログラムのアンドレイ・バクリツキイ代表はそう語る。
「これら諸国は口を揃えて、保有する核技術が国外に持ち出されないよう努めている、と言う。インドとイスラエルについてはたしかに、それは機能している。パキスタンではあまり機能していない。しかしそのパキスタンも、最近は、核技術が国内にとどまり、外国に伝わらないよう全力を尽くしている、と言っている」

しかし、専門家の見方では、これら諸国のほぼ全部が、いつ核不拡散条約に加盟してもおかしくない状態だという。既に動きを見せているのがインドである。インドでは現時点で、民間部門の原子力企業の大半がIAEAの監督を受けている。核不拡散条約では、核不拡散の監督にはIAEAが関わる、と明記されている。核を保有しない締約国はIAEAと協定を結ぶことを義務付けられているのである。パキスタンも加盟に動き出すのでは、との見方もある。イスラエルについては不透明である。現時点でイスラエルには、IAEAの監督を受けるべき施設が、そもそも存在しないのである。

現代の世界でさらに複雑な問題となっているのが、いわゆるダーティ・ボムの問題である。アンドレイ・バクリツキイ氏は次のように語る。

「ダーティ・ボム、それは最も簡単な放射能兵器である。核兵器とは違う。手当たり次第の放射性物質を普通の爆弾に取り付けるのである。それが爆発すると、放射性物質が飛散し、一定の面積が放射能で汚染される。爆発の威力が増すわけではない。しかしパニックが生まれる。土地が汚染される。テロリストらにはこの点が魅力的なのである」

今日、人類にとっての最大の脅威は、「テロリストはあらゆる放射性廃棄物を利用できる」という事実にこそある。原子力技術を有する各国が、放射性廃棄物の管理に厳重を期し、ひとつの例外もなくあらゆる場所で、放射能源へのアクセスを閉ざすことが必要なのである。

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