このフォーラムは、経済界及び実業界におけるユニークな国際的イベントで、世界中から著名な政治家、実業家、学者達、社会団体やマスコミの代表者達が一堂に会する。第一回目は1997年に行われ、これまで18年の歴史の中で、フォーラムは、新興経済大国のリーダー達が、発展途上にある市場や世界全体が直面する経済上の重要な諸問題を確定し話し合う貴重な場所へと変わった。
第二回目のフォーラムで、この催しが毎年行われることが決まり、2006年からは、ロシア連邦大統領後援のもと行われている。フォーラムは、総会、円卓会議、展示会(見本市)、投資プロジェクトのプレゼンテーション、商談、契約交渉など、非常に中身の濃いものだ。以下昨年のフォーラムを成果を数字で挙げてみよう。参加者の総数は、ほぼ7600人に達し、73カ国から公式の代表団が訪れた。フォーラムの枠内では、175の合意に調印がなされ、その総額は、4000億ルーブルを少し超えた。
しかし今回、そんなことはこれまで一度もなかったし、おまけに何の良いこともないにもかかわらず、経済に再び政治が介入を試みている。そうした声がどこから聞こえてくるのか? お分かりのように、それは米国サイドからだ。例えば、キエフ駐在のパイエット米大使は、自分のTwitterの中で、フォーラム参加を決める米国企業の「リスク」について書き込んだ。それによると「悪の国ロシアは、国際法の基本原則を無視しており、そのため現在は普段のようにビジネスをする時ではない」との事だ。パイエット米大使はさらに、次のような意見を述べている―「米国企業は、ミンスク合意を遂行し、クリミア占領をやめるようクレムリンに断固訴える行動にまとまらねばならない。もし米国実業界の誰かが、そうした声にあえて逆らって、ロシアと通常業務に戻るのなら、明らかに経済上風評上のリスクをはらむことになる。」
一方で英国の新聞Financial Timesは、サンクトペテルブルグ国際経済フォーラムへの米国企業に対する米国当局の事実上の参加禁止勧告は、昨年に比べ弱まったと指摘している。昨年、米当局は、巨大企業のトップマネージャーらに圧力をかけ、ペテルブルグには行かないよう警告した。そのせいで、Alcoa, Goldman Sachs, PepsiCo, Morgan Stanley, ConocoPhillips, VisaInc., Citigroupといった大企業のトップは、フォーラムに行かなかった。しかし一連の企業はそれでも、役職のランクを落として自分の会社の代表を参加させた。米当局を苛立たせず、かつロシア当局とコンタクトする機会も逸しないよう頭を使ったのだ。
恐らく何もしないよりはいいだろう。もちろんフォーラムへは、何人も誰も駆り立てはしない。しかし米国の企業家達が、アジアの根気強いライバルに又先を越され、後で残念がっても、もうどうにもならない。