以下、この新聞に載った記事の内容を抜粋して、皆さんに御紹介したい。
西側諸国によるウクライナ支援により、キエフ当局は親西欧的政策を取っており、反ロシア的行動を示しているが、同国東部の危機調整のためには何もしていない。ウクライナには、西側の何十億ドルもの援助がつぎ込まれているが、さらなる援助の拡大が求められている。
西側の支援を受けるキエフ政府は、厳しい中央集権制を相変わらず主張し、まず戦闘行為を止めさせ、対ロシア国境沿いの地区を完全なコントロール下に置く事を求めている。ウクライナのポロシェンコ大統領は、ミンスク合意の順守は義務的なものだと認めながらも、ドネツク及びルガンスク人民共和国が大きな自治権を手にする事になるウクライナの連邦化という方法での問題解決の面では、これまで少しも「やる気」を示していない。
両人民共和国に大きな自治権を付与するというプランは、ロシアも受け入れる事ができる唯一の停戦プランである。なぜなら、そうして初めて、ウクライナ東部地域が、ロシア政府とのより密接な関係を築ける大きな展望が開けるからだ。
ロシアとウクライナが反目しあう事のバカらしさを理解するには、隣り合う両国の地図を見れば、それで十分だ。ウクライナ危機が、西側の戦略の再考をもたらすかどうか、現時点では明らかではない。ロシアとウクライナに関する正しい決定が下されるために、あとどのくらいの時が必要なのか、それも分からない。
しかし米国や欧州の良識ある人々の中には、西側がウクライナに対するダブルスタンダード的対応を自覚し認めて初めて、平和が達成できるのだと認識する傾向が一部広がっている。ウクライナ東部では、親ロシア的な立場をとる住民が半数いる事を顧慮に入れ、その地政学的状況を考えれば、ウクライナが今後どうなるかは、ロシアがどれだけ好意を持ってこの国に接するかどうかにかかっている。ウクライナを西側の議題の一つとして取り上げる事など意味がない。
状況調整に向け、大きな期待がかかるのは、ドイツのメルケル首相の手腕だ。彼女は、欧州全体の今後にとってロシアとの平和的関係が、いかに必要性かを理解するためには、十分にプラグマチックである。メルケル首相は、NATOを使ってロシアを封じ込める事は、平和へ至る道などではなく、紛争をさらに悪化させるだけである事を認識しなければならない。