立正大学経済学部・蓮見雄教授(3):いついかなる時でもロシアとの対話は重要

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5月、プーチン大統領の側近であるナルイシキン・ロシア下院議長が来日した。当初はアメリカへの配慮から、議長と安倍首相との面会の予定はないとされたが、その後一転し、面会が実現した。昨年6月にもナルイシキン議長は来日しているが、そのとき首相との面会は実現しなかった。今年このタイミングで実現したことから、プーチン大統領の訪日を是が非でも実現し、ロシアとの直接対話に臨みたい安倍首相の強い意志が見てとれる。引き続き、EUとロシアの経済関係およびエネルギー政策の専門家である立正大学経済学部・蓮見雄教授にご意見を伺った。

Q、プーチン大統領の今年中の訪日について、賛成ですか、反対ですか。賛成の場合、どのような成果を期待されますか。

立正大学経済学部・蓮見雄教授: 日本の経済制裁、実質的な効果なし - Sputnik 日本
立正大学経済学部・蓮見雄教授(1):日本の経済制裁、実質的な効果なし

A、賛成です。いついかなる時でも対話は重要だからです。しかし、領土問題とビジネスをリンクさせるべきではないと思います。その理由は二つあります。第一に、1970年代、領土問題があるにも関わらず、日ソ経済協力によってシベリア・極東開発が行われました。現在、極東の物流の一大拠点となっているナホトカ湾のボストーチヌイ港は、まさに日ソ協力のたまものです。2013年4月の「日ロパートナーシップの発展に関する共同声明」は、この経験を踏まえた提案でした。第二に、ウクライナ危機は、この日ロ協力の「再始動」を停滞させてしまったのですが、同時にロシアの東方シフトを決定的なものにしました。ロシアにとって、これからもヨーロッパは主要なパートナーですが、それに劣らずアジアの重要性が高まりました。

立正大学経済学部・蓮見雄教授:慎重にならざるを得ないのはアメリカ自身だ - Sputnik 日本
立正大学経済学部・蓮見雄教授(2):慎重にならざるを得ないのはアメリカ自身だ

率直に言って、シベリア・極東開発は、これまで計画倒れに終わっていたのですが、それを本当に実現しなければならない状況が生まれたのです。中ロ接近の動きが目立っていますが、ロシアは中国のみに依存することを警戒し、より多くのアジアの友人を求めています。こうした状況下で、ロシアにとって日本の重要性はかつてなく高まっています。日本にとってもロシアとの付き合いは、新興国市場・エネルギー資源・シベリア極東開発権益の確保という実利があります。だからこそ、領土問題について言うべきことは言いつつ、同時にビジネス対話を継続し、現実的な協力のあり方について智恵を寄せるべきなのです。この姿勢を堅持することが結果として、政治的にも経済的にも、両国がWin-Winとなる関係を構築することにつながる、と私は信じています。

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