裁判所はブリュッセル地区に登録されているベルギー系およびロシア系さらには多国籍の47企業・団体に対し、ロシア連邦に帰属する資産・資金をどれだけ保有しているか、そのリストを作成し、15日以内に提出するよう通知した。
裁判所によれば、英国マン島に登記されているYukos Universal Limited社がブリュッセルの弁護士を通じ、ハーグ常設仲裁裁判所の2014年7月8日の決定に基づき借金の強制徴収を行うよう、裁判所に求めた。
原告は、ロシア連邦は国際裁判所の決定を度々無視している、と訴えている。原告によれば、ロシアが「自発的に合意を遵守する意思を持たない」ことは明らかであり、そのため裁判所は第三者の保有する債務者の資産を差し押さえることを決めた。債務の総額は16億ユーロ超であるという。
ハーグ常設仲裁裁判所は7月18日、元ユコス社の株主である3企業による訴訟で、ロシアに対し、キプロスのHulley Enterprises社およびGMLの子会社Yukos Universal Limited(あわせてユコスの株式の51%を保有していた)にそれぞれ399億ドル・18.5億ドルの賠償金、ユコスの年金基金であるа Veteran Petroleum Ltd.には82億ドル、合わせて500億ドルを支払うよう命じた。
これに対し、ロシアのアンドレイ・ベロウーソフ大統領補佐官は、木曜の会見で、国外のロシア資産の差し押さえに関する今回の決定には議論の余地があり、またその決定が非常に政治的なものであるため、ロシアは法廷で反論を展開する、と述べた。
「予期していた事態で、意外性はない。我々は、これら全ては違法であると考えている。法的に、裁判所を通じて、国益を守るための一連の行動を取る」とベロウーソフ氏。
氏はまた、「ロシアは、ベルギーに続いて、一部欧州諸国でロシア国有資産の差し押さえが始まることを予期している」と述べた。
ユコスに対する納税請求と欧州人権裁判所
税務当局は2003年の監査により、ユコスが脱税を行っていたことを突き止め、同社に対し、7000億ルーブルの納税請求を行った。同社に債務の支払い能力がなかったため、破産手続きがとられ、資産は売却され、同社は解体された。ユコスの株主はこれを不服とし、ハーグ仲裁裁判所に訴え、賠償金支払い訴訟を起こした。2014年7月、欧州人権裁判所は、ロシアに対し、元株主らに18.6億ユーロの賠償金支払いを命じた。ロシア法務省はこれに対し、ユコス元職員に犠牲者というステータスを付与する決定は法的論理の観点からは説明不可能だ、と反論した。