よく知られているように、米国防総省(ペンタゴン)は、ポーランドやルーマニア、リトアニア、ブルガリアそしてエストニアへの重兵器配備の可能性を検討中だ。こうした国々は、米国防総省によるNATOの東方拡大プランの一部である。
以下、インドの専門家ブハドラクマル氏の意見を抜粋して、お伝えする。
「米国は、自分の西側同盟国を通じて、ロシアとの対決モデルへと移行しつつある。なぜなら、米国の覇権にロシアが戦略的に異論を唱える政策を取っているからだ。国際舞台におけるロシア政府の自主独立は、ワシントン(米政府)の地域的な戦略の実現を妨げているばかりではなく、自分達が主権を持つような政策実現を目指す他の国々の模範となっている。」
ロシア政府が、ワシントンの声明に対し迅速にかつ激しく反応した事は、驚くべき事ではない。まずロシア国防相の高官が「バルト諸国に戦車や砲撃システムが出現するならば、冷戦時代以来最大のペンタゴンとNATOによる攻撃的一歩となるだろう」と述べた。その翌日、プーチン大統領は、大陸間弾道ミサイルを40基以上追加配備し、空中の標的を地平線を越えて発見できる新型レーダーユニットを備えることで、戦略核戦力を強化するロシア政府のプランを発表した。
ロシアが核戦力を強化するのは、地政学的プロジェクト「新しい米国の世紀」を実現しようとのワシントンの試みを意味のない物にするためだ。ワシントンはすでに「冷戦」時代にこだわる政策は取っていない。「戦争の瀬戸際でバランスを取る」事が、新しい米国の戦略となっている。この戦略はもう、ウクライナでも示された。また欧州における軍事プレゼンスを拡大したいというワシントンの意向の中でも明らかだ。
欧州にゆっくりと襲いかかっている嵐は、アジアにおける安全保障にも影響を与える事だろう。