朝鮮半島情勢の専門家である拓殖大学海外事情研究所・武貞秀士特任教授によれば、日韓関係改善を阻害している最も重要な要因は、韓国人特有の歴史認識である。1945年、日本は連合国に敗北。その3年後の1948年に韓国は建国した。それ以来韓国は「日本に確実に勝ったという証拠」を追求してきたのである。
「竹島問題・世界遺産登録への試み・閣僚の靖国参拝・旭日旗など、すべてのイシューは、韓国が日本に勝つことの障害になります。抗日パルチザン抗争で日本に勝った、という民族主義を建国憲法の柱にした北朝鮮のほうが、日朝関係改善に熱心であるのは、頷けます。それに加え、韓国人は戦略的発想をもって反日を続けています。韓国人自身が日韓関係改善に関心がないのは、日本との関係が悪化しても中国との関係を強化しておけば不安はない、と判断しているからです。中韓関係緊密化の経済データは、韓国人の戦略的判断が正しいことを証明しています」
武貞氏自身も今回のユン外相の日本訪問が、日韓首脳会談開催実現に向けての前段となることを期待し「韓国国内の批判があるのに、外相が日本を訪問することは、勇気がいることだと思います。パク大統領とユン外相の決断に、敬意を表したい」とプラスに評価している。しかし同時に、日韓関係の劇的改善は難しい、ということも指摘している。韓国は安倍総理が、「韓国人慰安婦たちは、日本軍の強制連行で不幸になった」と認めることを首脳会談の前提条件としているためだ。挺身隊問題対策協議会は韓国政府が前言を翻さないように監視しており、韓国政府は足かせをはめられている。
徳山あすか