ヤヌコヴィチ氏はBBCのガブリエル・ゲイトハウス記者からのインタビューに答え、キエフのマイダン広場での事件、クリミアのロシア再編入、ドンバスの状況に対する自身の見解を明らかにしたほか、自身の生命を救ってくれたとしてプーチン大統領への謝意を表している。
ヤヌコヴィチ氏は2014年2月、ウクライナで合法的な政権が転覆されたことは「ウクライナ国家にとっての悲劇」と語り、ウクライナで起きたことは起こりうる最悪のシナリオだったと指摘した。
「これは悪夢だ。こうしたことは夢の中でしか起きないものだ。だがその全てを我々は現実に眼にしている。戦争が行なわれ、人々が死に、苦しみ、国は引き裂かれてしまった。」
ヤヌコヴィチはさらに、状況がコントロールを失った時点でいかに国外脱出に成功したかを語り、公の場でロシアのプーチン大統領に対し、地震の命を救ってくれたことに対し、謝意を表した。
「プーチン大統領は自身の特務機関に命令を出した。これは彼の権利であり、彼自身が行なったことで、私とは相談はされていない。私はもちろんプーチン大統領に対し、こうした命令を出し、私の警護が私を国外に連れ出し、命を救うという課題を遂行するよう仕向けてくれたことを感謝している。」
プーチン大統領はこれより前、映画「クリミア、祖国への道」のなかで、ロシアの特務機関および国防省のトップらに対し、ヤヌコヴィチ氏の命を救うよう課題を出した事実を語っている。
ヤヌコヴィチ氏はこのほか、治安維持部隊との衝突で数十人が死亡したマイダン広場の事件についても語り、自身は抗議市民に対して銃砲を用いる命令は下さなかったどころか、そうした措置には断固として反対していたことを強調した。
ヤヌコヴィチ氏は、マイダン広場での事件の責任は急進主義者らにあると し、「今日、半年もの時間が流れ、ウクライナ人もこの銃撃を行ないたかったのが政権でも大統領でもなく、あの急進主義者であったことが分かった。あの犯罪者たちこうしたやり方で政権を強奪しようと決めたのだ」と語っている。
ヤヌコヴィチ氏は、「あの者たちはマイダンに留まらず、その先に突き進むだろうと警告した。この1年半の間、戦争は止まず、ウクライナはクリミアとドンバスを失い、数千人の命を失った。あの者たちは国を崩壊させ、全世界を、欧州、ロシア、米国を紛争へと引きずり込んだ」と語った。
ヤヌコヴィチ氏はクリミアのロシアへの再編成については、これはすでに起きてしまった事実だとし、「起きてしまったことはどうしようもない。今は戦争が進行している。クリミアを我々が取り戻そうとすれば、一体どのようにして取り戻せるというのだ? 戦争を起こすのか? これ以上何の戦争が必要なのか?」
ヴィクトル・ヤヌコヴィチ氏は2014年2月に起きた国家クーデターの結果、政権を終われた。ウクライナ最高議会はヤヌコヴィチ氏を追放し、憲法を改正し、臨時の大統領選挙の実施を公布した。ヤヌコヴィチ氏に対する弾劾プロセスは行なわれていない。