この発言は、ワシントンで6月23-24両日行われる第7回米中定例戦略対話と時期をあわせてなされた。この会合では、安全保障、経済、気候変動、人道交流、国際問題など幅広いテーマをめぐり、意見交換が行われる。今や世界を代表する2大国、米中両政府代表による対話交流は、今回一連の問題をめぐり米中間に矛盾が生じている背景の中、行われる。意見が食い違う問題の中には、南シナ海の問題も含まれる。このテーマは、中国と、米国が支持する日本を含めた周辺隣国との間で、領土をめぐる紛争が緊張の度合いを増すにしたがって、ますますアクチュアルなものとなりつつある。この地域の国々が軍事力を拡大していることを、米国政府は深刻に憂慮している。ホワイトハウスは、一方で中国と軍事対決に踏み込むつもりはないものの、他方で同盟国に対する安全保障領域での自分の義務を果たさないわけには行かない。
中国外務省の陸慷(ルー・カン)報道官も、今回の対話を前に「南シナ海の領土問題は、米中相互関係の問題ではないが、我々は、この争いは、米中海軍間の相互関係の面へと移ったと見ている」と述べた。
ロシア・アセアン・センターのヴィクトル・スムスキイ所長は「米中間の対立のエピソードは、ますます頻繁に生ずるだろう」と述べ、米国艦「フォートワース」のRich Jarrett艦長と同じ考え方を示したー
「そうしたエピソードが生じることは避けられない。それは、米中間のライバル関係が長期にわたり続くことからきている。対決の主要な舞台は。現在は東アジアだ。そこには、南シナ海といった痛点がある。
中国や米国のような大国の国益は、存在する矛盾をどうにか解消しようとあらゆる試みをしても、決して完全には一致しないものだ。両国には、高い経済的ダイナミズムが在り、明らかに台頭する中国は,米国にとって問題だ。こうしたすべてのことが、米中関係に影響を与えている。そこでは、協力の可能性を両国に与えるよりも、紛争の種になるものが少なくない。