安倍総理大臣は、北方領土問題を解決するためにも、ロシアとの対話を推進する必要があるとして、プーチン大統領の年内の日本訪問を実現することを目指しており、これに先だち、岸田外務大臣に早期にロシアを訪問させたいとしている。
こうしたなか、安倍総理大臣は、プーチン大統領の日本訪問の環境整備を図るためにも、ロシアと欧米諸国が対立しているウクライナ情勢の平和的な解決への糸口を探りたいとして、国家安全保障局の谷内局長を、来月上旬にロシアに派遣する意向を固めた。
谷内局長は、ロシアに滞在中、プーチン大統領の側近のパトルシェフ安全保障会議書記などと会談し、ウクライナ情勢の平和的な解決に向けてロシア側の前向きな対応を促すとともに、日ロ両国間の対話を推進するための具体策を巡って意見を交わすことにしている。
プーチン大統領の東京訪問は、昨年2014年秋に予定されていたが、ウクライナ危機に関連した国際情勢の悪化により実現しなかった。そして訪問は、今年に延期されたが、具体的な日取りについては今のところ発表されていない。またプーチン大統領の日本訪問の準備段階の一つとなる岸田外相のモスクワ訪問も、これまで決まっていない。
2009年、国際問題に関する政府の顧問役であった谷内氏は、南クリル4島をロシアと日本の間で「均等に」分割する提案をした。つまり日本は「三島とエトロフの一部を得る」というもので、4島の総面積を両国が折半する提案だった。当時この提案は、日本政府の中で物議をかもし、谷内氏は退任した。
安倍政権になってから谷内氏は、2013年11月に作られた国家安全保障局の局長を務めている。